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2007年02月16日(金) 22時46分

三菱UFJ銀 法人融資7日間停止読売新聞

飛鳥会事件で金融庁処分 新規分、全店舗で

記者会見する三菱東京UFJ銀行の畔柳信雄頭取(右は伊藤純一常務)=田村充撮影 金融庁は15日、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱東京UFJ銀行に対し、国内の法人向け全店舗で新規の法人顧客への融資の7日間停止を命じるなどの行政処分を行ったと発表した。業務上横領事件などを起こした財団法人「飛鳥会」(大阪市)との不適切な取引を長年続け、内部管理体制などに問題があると判断した。

 畔柳信雄頭取は同日記者会見し、自らを含む経営陣に処分を行う考えを明らかにした。法人向け融資は、地域を分割して4月9日〜7月9日の間に、順次停止する。新たな取引先への融資は禁じるが、既存顧客への追加融資などは認める。

 これまでの融資実績から単純計算すると、7日間の業務停止で、三菱東京UFJ銀は約200億円の法人向け新規融資の機会を失う可能性がある。国内の法人営業拠点の新設も、3月1日〜8月31日の半年間禁じる。銀行法に基づく業務改善命令も行い、経営責任の所在の明確化や、再発防止策などを含めた業務改善計画を3月16日までに提出するよう求めた。

 行政処分の理由は、同行の淡路支社(大阪市、旧三和銀行淡路支店)と飛鳥会の元理事長、小西邦彦被告(業務上横領などで1審有罪、控訴中)との30年以上にわたる不適切な関係だ。同被告は、暴力団との関係が指摘されていたが、旧三和銀行は法人課長を飛鳥会の事務所に常駐させていた。返済見込みの少ない巨額融資を続け、約50億円が回収不能になった。06年1月に三菱東京UFJ銀行が発足した後も、適切な対応を取らなかった。

 金融庁は、「合併前の旧三和銀行、旧UFJ銀行の歴代経営陣は現場から報告を受けて問題を把握していたが、危害を加えられることを恐れ、問題解決への取り組みを行わなかった」と厳しく指摘している。

 メガバンクに対する行政処分では04年、旧UFJ銀行の東京と大阪の両法人営業部で新規顧客への融資を6か月間停止する業務停止命令が出ている。06年には三井住友銀行に、全国の法人営業部で6か月間、金融派生商品の販売停止を命じている。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070216mh06.htm