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2007年02月16日(金) 13時41分

九州電力グループ企業、比政府への利益供与疑惑読売新聞

 九州電力のグループ企業「九電工」(福岡市、河部浩幸社長)が、フィリピンでの事業を巡り、フィリピン政府側に利益供与した疑惑が浮上し、福岡地検から14日に不正競争防止法違反(外国公務員に対する利益供与)容疑で捜索を受けていたことがわかった。九電工が16日、発表した。

 九電工は調査委員会を設置し、解明を進めるとしている。

 九電工によると、問題の事業は、フィリピンの国家捜査局が犯罪捜査のため導入を検討していた指紋照合システム。フィリピンの国家経済開発庁の審査を通過し、大統領が2005年2月に認可した。

 九電工は02年6月、マニラに子会社「九電工ニーズクリエイターITコーポレーション」(資本金約3億3000万円)を設立し、3人の社員を常駐させて受注を目指したが、同局の計画が遅れたこともあって、昨年9月に撤退した。

 福岡地検は14日、本社の営業本部海外事業室などを捜索し、担当社員らから事情を聞いた。容疑は、この子会社を巡るフィリピン政府側への利益供与とみられる。

 九電工側は16日、本社で記者会見し、「捜索を受けたのは事実だが、現時点ではどの行為が違法だったか分からず、利益供与の相手も分からない」としている。

 経済協力開発機構(OECD)の加盟各国は1998年11月、「外国公務員への贈賄防止条約」を締結。これを機に、国内でも不正競争防止法が改正され、外国公務員への利益供与の禁止が盛り込まれた。不正な利益供与をした場合、個人には5年以下の懲役か500万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金が科せられる。

 民間調査機関によると、九電工は44年に設立。九州最大手の電気工事業者で、東証1部に上場している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070216it06.htm