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2007年02月16日(金) 00時00分

やまぬ退職 改善要請朝日新聞

 05年12月の民間委託から、4カ月間で保育士8人が退職するなどした練馬区の光が丘第八保育園で、今年度もこれまでに保育士7人が退職したため、区が改善要請をしていたことが15日わかった。区は「民間活力で効率的な運営を行い、保育サービスを充実させる」として委託に手をつけたが、狙いに逆行しかねない実態といえる。4月の区長選でも委託のあり方が争点になる可能性がある。(内山美木)

 区は昨年3月、運営委託をしている育児用品メーカー「ピジョン」が多くの退職者を出したとして、改善勧告を出している。区によると、常勤保育士28人のうち、昨年4月以降も計7人が退職したことから、同12月、改善要請に至った。7人のうち4人の退職理由は「体調不良」だという。

 区は契約時、ピジョンに対し、「年度内で3名を超える常勤保育士の異動があった場合は、改善勧告を行う」という取り決めをしているが、区保育課は「(ピジョンは)退職することがわかりしだい人員を補充するなど、着実に運営している」として、今回は勧告ではなく要請とした。

 ピジョンIR・広報室は「退職の際は、引き継ぎもしっかりとやっている。欠員はなく、運営に支障をきたしてはいない」としている。

 同保育園の民間委託をめぐっては、保護者の代表が再検討を求めたにもかかわらず区がピジョンと契約したのは裁量権の逸脱だとして、区内の男性2人が昨年6月、志村豊志郎区長を相手取り、契約無効と、委託料約3億1800万円の区への返還などを求め、東京地裁に提訴し、訴訟が続いている。

 原告の一人で行政書士の男性(42)は「安定した保育のためには、人員を補充すればよいというわけではない。年度の変わり目に、退職者がさらに増えるのではと心配だ」と話している。

 区は、昨年4月から新たに3園を民間委託している。今後も委託化をすすめる方針だが、具体的な計画は未定。4園について検証したうえで計画をまとめるという。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000702160001