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2007年02月15日(木) 04時27分

被害者保障 国が返還求め訴訟読売新聞

 強制加入の自賠責保険に入らずに乗用車で交通事故を起こしたとして、国土交通省が中新川郡の男性を相手取り、被害者に支払った政府保障分の約1127万円の返還を求める訴訟の第1回口頭弁論が3月1日行われる。男性被告は所在が分かっていない。自賠責保険に入らずに交通事故を起こし国が被害者に保障したが、加害者が逃げるケースは年々増えている。国交省によると和解が進んでいるものも含め債権額は約501億円に上るという。

 訴状によると男性被告(当時59歳)は2004年1月31日午前9時10分ごろ、埼玉県蓮田市内の交差点を乗用車で左折する際、横断歩道を渡っていた女性(当時63歳)の右腕などに骨折のけがを負わせたという。

 男性被告は自動車損害賠償保障法に基づき、被害者に損害賠償する責任があったが、自賠責保険などに加入していなかったため、国土交通省が政府保障制度に基づき、被害者に約1130万円を支払った。

 同省は男性被告に、立て替えた分の返還を求める督促状などを郵送したが、中新川郡の住所を最後に所在が分からなくなったため、国は男性被告を相手取り1月15日に提訴した。

 同省保障課によると、自動車損害賠償保障法が制定された1955年以降から04年度までに債権の総額は約501億円に上る。また、1993年度には約16億円だった債権額は、04年度には約33億円にまで膨れ上がるなど年々、増加傾向にある。同省保障課は「最近は盗難車に乗ったり、自賠責などに入っていなかったりする人も多い。事故後に賠償金を支払わずに逃げ、所在すら分からないこともあって、債権額は増えている」と嘆いている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/toyama/news001.htm