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2007年02月15日(木) 00時00分

耐震強度不足 79件安全を確認朝日新聞

水落氏関与物件170に

 田村水落設計の水落光男・1級建築士がかかわった建物の耐震強度不足問題で14日、新たに大阪市のホテルでも強度不足が判明した。県内では、関与した物件が33件増えて、170件になった。このうち、調査が不要な39件を除いた131件のうち、79件の安全が確認された。県や富山市などは、残り52件の調査を急ぐとともに、6階以上の建物については再計算する方針だ。

 県建築住宅課は、田村水落設計がかかわった県内の物件について、14日正午現在の調査状況を発表した。関与物件が170件に増え、内外装の修繕工事など安全確認が不要なものを除いた調査対象件数は131件になった。田村水落設計が下請けなどで引き受けていた物件が、新たに判明したためという。

 このうち、構造図と構造計算書を照合するなどの調査を終えたのは県は20件、富山市は51件、高岡市は8件。いずれも問題はなかったという。残る調査対象は県が16件、富山市が31件、高岡市が5件となった。

 県は16件のうち、6階建て以上の2件を外部委託して再計算する。また、5階建て以下の低層物件でも、鉄骨と鉄筋鉄骨を組み合わせた複雑な構造物や、延べ1万平方メートルを超える大型物件など計4件を日本建築構造技術者協会(JSCA)中部支部に再チェックを委託する方針だ。

 県建築住宅課は「年度内にはすべての調査を終えたい」と話している。

 一方、富山市と高岡市は、6階建て以上の物件計8件について、それぞれ建築主か元請けの設計者に再計算を依頼する。

 富山市建築指導課は「時期のめどは立っていないが、できるだけ早期に調査を終えたい」としている。

「姉歯元建築士と違う」水落建築士

 手がけたホテルの耐震強度不足を大阪市からも指摘された水落建築士。「確認申請当時の構造計算ソフトでは問題がなかったが、その後、更新したソフトで改めて計算すると問題が生じた。ただ、施工時にコンクリートなどの部材は設計時より強いものを使っているので、強度には問題がないと考えている」と説明した。

 水落建築士は、耐震強度偽装事件で建築基準法違反や議院証言法違反(偽証)に問われて公判中の姉歯秀次・元1級建築士の名前を挙げて「同じにしてほしくない」と話すなど、これまで一貫して意図的な偽装を否定。「構造設計者として安全を考えて設計してきた。(意図的に耐震強度を下げるなど)作為的なことは一切ない」と主張している。大阪市も偽装の有無について「計算に誤りは多いが悪意は見あたらず、偽装ではないと考えている」と説明した。

 しかし、水落建築士が関与したホテル・マンションはすでに計4件で耐震強度不足が指摘された。また、新潟県三条市で建設中のマンションが「耐震性に疑義が生じた」として工事が中断するなど、調査中の物件も全国で多数残っており、その大半が高層のマンションやホテルとみられる。水落建築士は調査中の自治体や顧客からの問い合わせに答えるため、資料作成などに追われている。

http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000000702150002