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2007年02月15日(木) 00時00分

敦賀処分場 住民の声が捜査後押し朝日新聞

◇根強い環境への不安 恒久対策に公費102億円

 敦賀市の廃棄物最終処分場に大量のごみが違法搬入された問題で、県警は14日、処分場を経営していた「キンキクリーンセンター」(本社・同市)と、同社社長ら6人を廃棄物処理法違反(措置命令違反)容疑で福井地検に書類送検した。国内最大規模のごみ違法搬入をめぐり、刑事責任が問われることになる。しかし、同社の違法搬入が確認されてから既に10年以上が経過。住民の周辺環境への不安は根強く、対策事業にはばく大な公費が投入される。

 ■県警

 県警は、「たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会」(略称・ゴミ弁連)の弁護士7人が、05年1月に告発した容疑に基づき捜査を続けてきた。

 同12月に幹部宅などを家宅捜索し、関係書類を押収。06年4月には、処分場の汚水流出状況などを確認するため現場検証を実施し、幹部の事情聴取を進めてきた。

 この問題をめぐっては、県が00年9月に同社と社長ら幹部2人を廃棄物処理法違反(無許可増設)容疑で告発。県警が02年3月に書類送検したが、福井地検は同年11月に県の指導にも問題があったなどとして、嫌疑不十分で不起訴処分にした経緯がある。

 しかし、キンキ社の責任を問う住民の声は強く、また、産業廃棄物の不法投棄事件が全国で相次ぐ中で、県警は「県民が注視する重要課題」(幹部)と位置づけ立件にこぎつけた。

 ■汚水流入

 処分場そばの木の芽川の水系の地下水は、敦賀市民の飲料水の水源だ。県は02〜03年度に処分場と木の芽川との間に長さ100メートルの遮水壁を設置するなど、応急対策を代執行。費用は敦賀市も一部を負担し、計約4億円を投入した。

 しかし、木の芽川への汚水の流入は今も続いている。同川からは、内分泌攪乱(かくらん)化学物質(環境ホルモン)の疑いがあるビスフェノールAが検出されており、県の最新の調査では「人体に影響がないレベル」に濃度は低下しているという。

 抜本対策を進めるため、県と敦賀市は昨年7月から、総額約102億円の恒久対策事業の行政代執行を実施している。12年度までに周囲を全長1890メートル、深さ数十メートルの遮水壁で囲い込むほか、アスファルトなどで表面を覆う。外部からの水の流入を防ぎ、内部の汚水を浄化処理し放水するため、県廃棄物対策課は「現段階で最も効果的な方法」と話す。

 ただ、この方法では汚水処理を今後数十年続ける必要があるほか、地下水への影響が未知数だとして、ごみの全量撤去を望む声も根強い。

 ゴミ弁連の村田正人弁護士は「囲い込みでは汚水が徐々に環境に排出され、将来の世代にも汚水問題を持ち越してしまう」と指摘。「あくまで香川県・豊島のように全量撤去を追求すべきだ」と主張している。

 ■財政負担

 県と敦賀市による恒久対策事業には、国の補助を含め約102億円の税金が使われる。

 国が約39億円を支援し、県が約42億4千万円、敦賀市が約20億4千万円を負担する。市民団体「木の芽川を愛する連絡協議会」代表世話人で、同市の今大地晴美市議は「そもそも、県が違法搬入を見逃していなければ、現在のような状況にはならなかった。市の財源も投入されることで、敦賀市民は地下水への不安を抱えるだけでなく、財政面でも一番重い負担がのしかかってくる」と憤る。

 同市は、市支出分の3分の2にあたる約14億円について、同処分場にごみを搬入した18府県の自治体など計60公共団体に請求する方針だ。現在、市は各団体に対し、費用の請求方法などを示すための説明を実施。全団体への説明を終えた段階で請求する見通しだが、支払いには強い難色を示す団体もある。

 一方、キンキ社への債権回収の動きも始まった。同社や関連業者の最大債権者である整理回収機構は、同社や元役員の財産を処分するため、昨年11月に福井地裁に同社などの破産を申し立て、先月、破産手続き開始が決定した。だが、今後、保有財産からどれだけが回収できるかは不透明だ。

■キンキクリーンセンターをめぐる動き■

1987年9月  キンキ社が県から産業廃棄物処理業の許可を受ける

  92年5月  キンキ社が約9万立方メートルの増設を届け出

  94年8月  無許可増設を県が立ち入り調査で確認

2000年6月  投棄量が届け出の約13倍になっていることが判明

     8月  県が搬入停止を行政指導

     9月  県が廃棄物処理法違反(無許可増設)容疑で同社と社長ら幹部2人を県警に告発(02年11月、福井地検が嫌疑不十分で不起訴処分)

  02年2月  県が栗田幸雄知事(当時)、職員計26人を減給、懲戒処分に

     4月  キンキ社が経営破たん

  05年1月  ごみ問題に取り組む弁護士グループがキンキ社と幹部6人を廃棄物処理法違反(措置命令違反)容疑で県警に告発

  06年3月  処分場の恒久対策事業で、国の支援が可能となる特定産業廃棄物支障除去特別措置法(産廃特措法)の適用が決定

     4月  県警が同法違反容疑で処分場で現場検証を実施

     7月  県と敦賀市が、処分場の恒久対策事業の行政代執行に着手

  07年1月  整理回収機構が福井地裁に申し立てていたキンキ社などの破産手続きが開始決定

     2月  県警が同法違反容疑でキンキ社と幹部6人を書類送検

http://mytown.asahi.com/fukui/news.php?k_id=19000000702150003