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2007年02月15日(木) 14時34分

JR総連関連団体、元理事長が1億5000万着服容疑読売新聞

 東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)などを傘下に持つ「全日本鉄道労働組合総連合会」(JR総連)の関連の財団法人「日本鉄道福祉事業協会」の元理事長(71)らが、同財団名義の銀行口座から約1億5000万円を着服した疑いがあるとして、警視庁公安部は15日朝から、業務上横領の疑いで、東京・品川区の同財団やJR総連などの捜索を始めた。

 ほぼ同時期に同じ口座から約7000万円が、JR東労組の元会長(71)名義の口座に振り込まれており、公安部は、この振り込みの経緯についても解明を進める。

 調べによると、財団の元理事長は在職中の2000年6月、財団の経理担当の女性(46)に指示し、財団名義の銀行口座から、一度に約1億5000万円を無断で引き出し、元理事長名義の銀行口座に入金させた疑い。

 ほぼ同じころ、元理事長は群馬県嬬恋村に別荘を約1800万円で購入し、この代金が00年9月から01年4月にかけ、4回にわたって元理事長の口座から別荘を販売した会社に振り込まれていた。このため公安部では、財団の資金が別荘の購入代金に充てられたとみている。

 公安部によると、財団の口座は00年6月22日に開設され、その直後から同じ財団名義の別の口座やJR総連名義の口座から振り込みが相次ぎ、計約2億2000万円が集まった翌日の同28日、約1億5000万円が引き出されていた。

 また、同じころ、残る約7000万円についても、JR東労組の元会長名義の銀行口座に振り込まれ、外貨で預金されていた。

 公安部は元理事長らが当初から財団の資金を着服する目的で、新たに財団名義の口座を開設したとみており、なぜJR東労組の元会長名義の口座にも、同じように資金が流れたのか関係者から事情を聞く。

 公安部は05年12月、JR東労組の元会長や、財団の元理事長らが共謀してJR総連の関連資金約3000万円を着服し、元会長が所有するハワイのリゾートマンションの購入資金に充てたとして、JR総連や財団を業務上横領容疑で捜索していた。

 同財団は1981年、前身組織が、JR総連の前身にあたる動労からの寄付などで設立され、87年の国鉄民営化に伴い、現在の名称に変更。品川区のJR総連などが入るビルの管理・運営などを行っている。

 同財団は「捜索を受けている容疑の内容がよく分からないので、コメントできない」とし、JR総連も「取り込み中」を理由にコメントをしていない。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070215it04.htm