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2007年02月15日(木) 03時01分

犯罪被害金、裁判なしで返還へ…与党が今国会に提出読売新聞

 振り込め詐欺事件などで金融機関の口座に振り込まれた被害金を被害者に迅速に返還するため、自民、公明両党が今国会に提出する議員立法の原案が14日、明らかになった。

 犯罪に悪用された口座を預金保険機構などが公告して、一定期間内に異議が出なければ名義人などの権利を消滅させることが柱だ。これにより、裁判手続きを経ずに、被害者に迅速に返還できるようにする。金融機関の口座には68億円の被害金が残ったままといわれ、新法が成立すれば返還に弾みがつくと期待される。

 自民党の「振り込め詐欺撲滅ワーキングチーム」(中野正志座長)が15日、原案を正式に決め、3月に自公与党が法案を提出する見通しだ。

 原案で定めた具体的な手続きによると、金融機関はまず、捜査機関からの情報などにより、犯罪に悪用されていることが疑われる口座の取引を凍結する。

 凍結口座については、預金保険機構などの公的機関がインターネットや官報で、「一定期間内に、口座名義人など利害関係者による権利主張がない場合、口座に対する権利は消滅する」と公告する。

 預金保険機構などは、口座名義人などが名乗り出て来なかった場合に、口座に残る被害金を被害者に返還することを再度、公告する。

 2度目の公告期間中に、被害者は振り込みを証明する資料を添えて金融機関に返還を申請し、金融機関が審査の上で返還を決定する仕組みだ。同一口座に複数の被害者がいる場合には、口座の残金を被害額に応じて比例配分する。

 振り込め詐欺などの被害者が、金融機関の口座にいったん振り込んだ被害金を返還してもらうには、現在は、金融機関を相手取り訴訟を起こすことが必要だ。

 自民党のワーキングチームによると、金融機関が把握している被害総額の約8割にあたる68億円が金融機関の口座に残っているという。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070215it01.htm?from=top