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2007年02月15日(木) 01時20分

貸金業登録証を示して、信用させる 聴覚障害者詐欺事件朝日新聞

 東京都港区の福祉機器販売会社社長小林洋子容疑者(55)=目黒区下目黒4丁目=らによる多額詐欺容疑事件で、小林容疑者は自らの貸金業登録証を出資者に示し、「都の関連会社なので、安心して預けて欲しい」などとうその説明をしていたことが、警視庁と山梨県警の合同捜査本部の調べでわかった。捜査本部は、小林容疑者が資金力があるように見せかけるための手口だったとみて調べている。

 捜査本部の調べでは、小林容疑者は99年1月、都に対し「パラダイスプランニング商会」(世田谷区池尻3丁目)という商号で、貸金業登録をした。小林容疑者は翌00年から05年までに、少なくとも約270人から計約27億円を預金や出資金名目で集めていたが、その際、登録証を出資者に見せ、都の関連会社だと偽った上で、「都知事から認可を受け、高い利子を配当する会社だ」と説明していたという。

 しかし捜査本部によると、パラダイスプランニング商会は数人に万単位の金を貸しただけで、貸金業としての実態はほとんどなかった。小林容疑者自身も貸金業を営んだ経験はなく、ノウハウを持つ従業員もいなかったという。

 山梨県に住む60歳代の男性被害者は05年9月、小林容疑者から直接、金を預けるよう促された。この被害者によると、小林容疑者はその際、貸金業の登録証を見せた上で「都知事の名前が書いてあり、(パラダイスプランニング商会は)信用できます」と言われたという。

 この男性は妻も聴覚障害者で、2人で計1100万円を預けた。その翌日に不安になり、返金を依頼したところ、「もう無理だ」と断られた。月5万5000円のはずだった利息も、ひと月分しか支払われなかったという。

http://www.asahi.com/national/update/0215/TKY200702140384.html