記事登録
2007年02月14日(水) 00時00分

動物ロボの癒やし検証 拓大グループが研究朝日新聞

 高齢者が小型の動物型市販ロボットと時間を過ごすことで、心を癒やすきっかけにならないか——。拓殖大工学部(東京都八王子市)などの研究グループが、高齢者施設でロボットセラピーの研究を続けている。高齢者がロボットと接することで、表情が豊かになるなどの効果が出始めているという。(大重史朗)

 ロボットセラピーは、動物を用いたアニマルセラピーからヒントを得た方法。高齢者施設などで生きた動物を飼うには、費用がかかったり衛生上の問題があったりする。こうしたアニマルセラピーの短所を克服するため、ロボット技術をセラピーに応用しようというのだ。拓殖大のほか筑波学院大(茨城県)や帝京科学大(山梨県)などの研究者が数年前から研究を始めている。

 拓殖大専任講師の香川美仁(よしひと)さん(39)らのグループは5年ほど前から、八王子市、横浜市、埼玉県上尾市の高齢者施設3カ所を毎月訪問。学生や施設職員らが、70代から80代の高齢者と日常生活や趣味の話などをして手がかりを探ってきた。

 その中で、高齢者がテーブルの上に置かれたネコやアザラシなど動物型ロボットに触ったり話しかけたりしているのに注目。3施設で延べ2千人の反応をビデオで録画するなどして観察してきた。その結果、無表情だったり無口だったりした高齢者がロボットと接した後、表情が豊かになる例が少なくないことがわかったという。

 この結果をもとに香川さんらは、高齢者とロボットの触れ合い方を、ロボット側に備えつけたセンサーや小型カメラでさらに細かく観察。高齢者がロボットのどの部分に触ったか、そのときの表情は、といったデータを収集・検証し、人間のパートナーとなるロボットの姿を追究している。

 高齢者の血圧や脈を測定するなど医学的側面から検証する課題も残されている。しかし香川さんは「高齢化社会の中で、セラピーの分野ではロボットの需要はまだ見込める」と判断。将来的にはセラピー専門のロボットを開発したいという。

 問い合わせは香川さんのEメール(ykagawa@ms.takushoku−u.ac.jp)へ。

http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000000702140002