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2007年02月14日(水) 07時20分

手話使い聴覚障害者から出資金詐欺の疑い 社長ら逮捕へ朝日新聞

 手話を使って聴覚障害者から出資を募って金をだまし取っていたとして、警視庁と山梨県警の合同捜査本部は14日にも、東京都港区の福祉機器販売会社の女性社長(55)ら数人を詐欺の疑いで逮捕する方針を固めた。被害者は十数都県で約250人、被害総額は22億円に上るとみられている。

 捜査本部の調べや関係者の話によると、女性社長らは00年ごろから関東地方や東海地方の聴覚障害者に「私にお金を預けたら、年利6%の利息を払う」と勧誘して金を出させていたとされる。朝日新聞の取材に対し、社長は「だますつもりはなかった」と反論している。

 集めた金は、経営する福祉機器販売会社の商品販売や、神奈川県湯河原町で経営していた老人ホームの運営で運用して配当すると説明していたが、利息は数回しか振り込まれず、預かった金は返金されていないという。

 実際にはいずれの事業も行き詰まっていたほか、社長の私的流用もあったとみられている。

 この社長については、山梨県内の聴覚障害者6人が昨年8月、出資金計約5750万円をだまし取られたとして、同県警に詐欺などの疑いで告訴。また、警視庁は同9月、社長が04年から05年にかけ、都内などに住む2人の聴覚障害者に「私たちに出資すれば、今の銀行の金利よりも高利の利息をつける」と手話で誘い、計約3800万円を出資させたとして、経営する会社など関係先11カ所を出資法違反(預かり金の禁止)の疑いで家宅捜索している。

 1100万円を出資した山梨県内の50代の女性は「手話が上手だったので、信用してしまった」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/0214/TKY200702140099.html