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2007年02月14日(水) 12時44分

聴覚障害者に投資話、福祉会社の社長ら3人を逮捕読売新聞

 東京都港区の福祉関連会社「コロニーワイズ」が聴覚障害者らに手話を使って虚偽の投資話を持ち掛け、生活資金などをだまし取っていた事件で、警視庁と山梨県警の合同捜査本部は14日、同社社長の小林洋子容疑者(55)ら3人を詐欺容疑で逮捕した。

 小林容疑者らは東京都に貸金業登録をしたうえで、「都の関連業者で信頼がある」などと言って信用させていたことも判明。捜査本部は、同社が2000年以降、18都県の約270人から集めた約27億円のうち、使途が分からない約21億円は、借金の返済に充てられたとみて追及する。

 ほかに逮捕されたのは、いずれも神奈川県湯河原町宮上の元同社経理担当、町田栄子(56)と、その長男で元同社社員、訓清(28)の両容疑者。

 調べによると、小林容疑者らは05年3月下旬、耳が不自由な山梨県南巨摩郡内の男性(51)に、手話で「私にお金を預ければ、月5%の利子を支払う。預けたお金は必ず返す」などと虚偽の投資話を持ち掛け、翌4月上旬、男性から現金2300万円をだまし取った疑い。

 捜査本部によると、小林容疑者らは、聴覚障害者を中心に投資の勧誘を始める前年の99年1月、東京都に貸金業の登録を行っており、勧誘の際には登録証を提示して、「都から認可を受けた高配当の会社」「都の関連業者で信頼がある」などと偽って信用させていた。このため「元本が返済される銀行預金のようなもの」と誤解し、自宅を担保に借金をして資金を捻出(ねんしゅつ)した被害者もおり、1人で約1億円を払った被害者も2人いるという。

 捜査本部によると、小林容疑者らが18都県の約270人から集めた約27億円のうち、約6億円は被害者への配当に回されていたが、残りの大半は、湯河原町の温泉ホテルを買収した際に高利のヤミ金融から調達した借金の返済に充てられたとみられるという。

 小林容疑者は1981年ごろに布団販売などのマルチ商法の会員となり、耳が不自由だった兄の人脈を通じ、聴覚障害者に布団を売りつけていた。コロニーワイズを設立した89年以降は、聴覚障害者に電気機器や福祉機器を販売しており、捜査本部は、これらの販売が頭打ちになったことをきっかけに、架空の投資話を思いついたとみて調べている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070214i104.htm