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2007年02月14日(水) 11時37分

手話で聴覚障害者詐欺、容疑の女社長ら3人を逮捕 朝日新聞

 手話を使って耳の不自由な人たちから金をだまし取ったとして、警視庁と山梨県警の合同捜査本部は14日、福祉機器販売会社「コロニーワイズ」(東京都港区)社長の小林洋子容疑者(55)=目黒区下目黒4丁目=ら3人を詐欺の疑いで逮捕した。捜査本部によると、被害者の多くは「手話を使う人は善意の人だ」と信じて小林容疑者に出資していたといい、被害者は約270人、被害総額は27億円にのぼるという。

小林洋子容疑者

 ほかに逮捕したのは、経理担当の町田栄子容疑者(56)=神奈川県湯河原町=と、長男の町田訓清容疑者(28)=同。

 捜査本部の調べでは、小林容疑者らは05年3月、山梨県笛吹市のレストランで、同県内に住む聴覚障害を持つ男性(53)に手話を使って「私にお金を預ければいい。必ず返します」と伝え、返金する意思もないのに2300万円を預けさせ、だまし取った疑い。小林容疑者は「詐欺だと言われても仕方がない」と供述しているという。

 集めた27億円のうち6億円は出資者に返金していたが、残りの使途は不明という。

 小林容疑者は兄が耳が不自由で、幼いころから手話ができたという。80年ごろから聴覚障害者にマルチ商法で布団を販売。89年にコロニーワイズ、02年に老人ホーム「アーデン湯河原」を設立し、聴覚障害者から出資金を集めるようになり、マルチ商法時代のネットワークを利用したらしい。出資金で、当初は補聴器を販売する事業などをしていたが、05年には自転車操業に陥っていたらしい。

 昨年9月、出資法違反の疑いで警視庁の家宅捜索を受けると、小林容疑者は記者会見を開き、「だますつもりはない」と釈明していた。会場には「小林洋子を応援する会」のメンバー約35人が集まり、「20年来のつきあい。信じている」と訴えていた。

http://www.asahi.com/national/update/0214/TKY200702140161.html