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2007年02月14日(水) 08時56分

外国人技能実習 事業所7割が違反読売新聞

昨年 労働局、79か所調査

 徳島労働局は13日、昨年1年間に実施した事業所への立ち入り調査で確認した外国人技能実習生に対する賃金不払いなどの違反状況を明らかにした。実習生からの通報で立ち入り調査を行った事業所数が過去最高となったほか、労働局独自の調査でも約7割で違反が見つかった。高橋靖・労働基準部監督課長は「労働の基本が守られていないケースがあまりに多く、徳島では違法の上に経済活動が成り立っているのではないか」と、雇用主の責任を厳しく指摘した。

 外国人技能実習生を取り巻く問題について、連合徳島が徳島市内のホテルで初めて開いた会議で、高橋課長が調査結果を報告した。

 調査結果によると、昨年、実習生から通報を受けて調査したのは18件で、うち14件で違反を確認。内訳は賃金不払い(13件)、不当な解雇(2件)、労働基準法で定めた最低賃金を下回る賃金支給(2件)などだった。

 これとは別に、実習生を受け入れている事業所を対象に抜き打ちで実施した立ち入り調査では、79か所のうち、70・9%にあたる56か所で▽安全衛生上の不備(32件)▽長時間労働(25件)▽残業割増賃金の不払い(19件)▽就業規則の不備(11件)——などの違反が見つかった。

 高橋課長は「通常、立ち入り調査で違反が見つかるのは5割程度で、まさに異常な事態。徳島には法令順守というものがないのか、と憤りを感じる」と、厳しい口調で述べた。

 県内の外国人技能実習生は約1900人で、うち9割が中国人。連合徳島にも▽雇用契約書や給与明細がなく、印鑑や預金通帳を会社が保管▽屋根が崩れ、雨漏りがする宿舎で生活▽給料と残業代が支払われないまま突然帰国させられ、航空券と関西空港までの高速道路代を払わされた——などの相談が260件以上寄せられているという。

 小松義明・連合徳島事務局長は「実習生の受け入れを仲介している協同組合などから『時給400円でいくら働かせてもいい』など誤った説明を受け、制度を理解していない雇用主が多い」と述べ、仲介団体が労働基準法などの処罰の対象にならない問題点を指摘した。

 一方、県中小企業団体中央会の賀川浩明・専務理事は「他府県の仲介団体から実習生が送り込まれるケースもあり、指導を徹底しきれないのが実情」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news001.htm