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2007年02月14日(水) 08時55分

調査拒絶を宣言読売新聞

反対の東洋町民決起集会 町長辞任を要求

応募の白紙撤回と田島町長辞任を求める住民ら(東洋町役場前で)
 東洋町の田島裕起町長が、原子力発電環境整備機構が公募する高レベル放射性廃棄物処分場に独断で応募した問題で、住民らでつくる「町の自然を愛する会」(高畠俊彦代表)は13日、同町役場前で「廃棄物の町持ち込みに反対する町民決起集会」を開き、いかなる調査を拒絶することを宣言。応募の白紙撤回と町長の辞任を強く求めた。

 集会には県内外の約300人が参加。「未来の子供たちに安心を!」「核のゴミを埋めないで」などと記したプラカードを掲げる人たちに向かって、高畠代表が「力を合わせて処分場に反対、阻止しよう」と呼びかけると、大きな拍手がわき起こった。

 高畠代表は「巨額の交付金をえさに町長は説得できても町民の心は買うことは出来ない。核廃棄物の冒険的事業を永久に拒絶する」などとする決議文を松原範幸助役に手渡した。

 町民を代表し、同町野根、漁業桜井菊蔵さん(77)が「事業を止め、町長を辞職させるために団結を」、香南市野市町の公文豪・元県議が「財政は厳しいが放射能に頼らない街づくりを進めるべき」と、それぞれ訴えた。

 「徳島人権・平和運動センター」のメンバーも参加し、脇卓司・前議長は「放射能に県境はない。東洋町より苦しい自治体も多く、国の大きな力に屈してはいけない」と強調した。

 9日の辞職決議案に賛成した議員5人のうち4人が参加し、「町長、国、原環機構の『説明・説得』には一切応じません」とするアピール文を読み上げた。

 香南市野市町から参加した主婦小松由紀江さん(31)は「どこかに作らなければいけないのは分かるが、なぜ東洋町なのか理解できない。子どもが安心して暮らせる将来のために反対を続けたい」と話していた。

     「住民が声を上げて」知事

 東洋町が原子力発電環境整備機構の高レベル放射性廃棄物処分場立地調査に応募した問題で、小松幹侍・室戸市長と大寺正芳・北川村長が13日、県庁で橋本知事と今後の方針について意見を交わした。

 橋本知事は、二人から両議会が、誘致に反対する決議を可決していることを聞き、「ほとんどの人が反対の立場にたつ中で、長引けば、町民の対立や風評被害を招きかねず、なるべく早く決着するに越したことはない」と述べた上で、「東洋町や周辺の地域の住民が声を上げることが大切」と強調した。

 小松市長らが、東洋町に隣接する徳島県の美波、牟岐、海陽の3町と、今月中にも資源エネルギー庁や同機構に出向き、意見を伝える計画があることを説明。橋本知事も「まとまっていった方が良い」と応えた。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kochi/news001.htm