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2007年02月14日(水) 08時50分

「見て、命奪った愛を」読売新聞

異例の意見陳述

 意見陳述は、裁判官に向かって行われるが、筑井さんは証言台から被告席に向かって半沢被告を見据える異例の形となった。

 筑井さんはいったん裁判官から着席を促されたが、半沢被告が初公判で傍聴席の愛ちゃんの遺影に目を向けなかったことから「立ったままやりたい」と半沢被告に対峙(たいじ)した。裁判官は制止せず、そのまま続行した。

 筑井さんは「重機のアームが高いことを分かっていたんでしょう。あなたがきちんと確認していれば、愛は死なずに済んだんです」と被告に語りかけた。

 また、事故で首と胸の骨を折った筑井さんは「病院で上体を起こせず、隣のベッドに横たわる娘の姿を見るために、看護師さんに手鏡を持ってもらった。この時の気持ちがあなたに分かりますか」と問いかけた。

 さらに、うつむいたままの半沢被告に「見てください。あなたが命を奪った愛のことを」と強い口調で呼びかけると、半沢被告はほんの少し傍聴席の遺影に視線を向けた。

 被告人質問で半沢被告は、重機の高さを確認しなかった理由について「現場の道路を何度も通っていて慣れがあった」と供述した。

 検察側は論告で、半沢被告が酒気帯び運転などを繰り返していたことから、「法無視の態度は根深く、起こるべくして起こった事故」と指摘し、禁固2年10月を求刑して結審した。

 閉廷後、筑井さんは「(求刑内容は)私としては納得できない。業務上過失致死は最長5年。上限ぎりぎりの求刑が出ると考えていた。検察側は、過失の度合いで、市や(電線を設置した)セコムの過失も加味したようだ」と語った。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news001.htm