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2007年02月14日(水) 00時00分

戦中の遊び 映画に再現朝日新聞

  横浜市中区野毛町の名物ラーメン店「三陽ラーメン」の店主、竹内辰男さん(65)の子ども時代をモデルに、無邪気な子たちが戦争に翻弄(ほんろう)され続ける姿を描いた映画ができあがった。「早咲きの花」(菅原浩志監督)というタイトルで、24日から中区若葉町のシネマ・ジャック&ベティで上映される。

(佐藤善一)

  映画は、女優の浅丘ルリ子さんが演じる、失明を宣告された写真家シュナイダー植松三奈子が、失明前に故郷の風景を目に焼きつけようと子ども時代を過ごした愛知県豊橋市を訪問。竹内さんをモデルにしたガキ大将の達夫たちに出会い、冒険の毎日を送る姿を描く。だが、時代は戦争末期で、子どもも学徒動員され、大規模な空襲を受ける……というストーリーだ。

  原作の「早咲きの花—子どもたちの戦友」は、「ぼくらの七日間戦争」で知られる作家宗田理さん(78)さんが描いた。宗田さんの妻と竹内さんが幼なじみで、「子ども時代の遊びを教えて欲しい」と竹内さんは宗田さんから取材を受けた。河原の両岸に分かれて石を投げ合う「石合戦」、無人島の宝探し、スイカ泥棒……竹内さんが経験した遊びの数々が小説の中で再現された。

  愛知県蒲郡市出身の竹内さんは21歳の時、父親の反対を押し切って上京。そば屋の住み込みやラーメン屋台を経て68年に広さ5坪の現在の店を開いた。

  店内には、今回の映画ポスターや、浅丘さんと並んだ竹内さんの写真が飾られている。常連からは「有名になったな」とよく声をかけられる。「横浜での上映は楽しみ。よい映画だから一人でも多くの人に見てもらいたい」と竹内さん。

  24日の上映初日には菅原監督と共に舞台あいさつする予定だ。上映は3月9日まで。問い合わせはジャック&ベティ(045・243・9800)へ。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702140002