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2007年02月13日(火) 00時00分

米国籍テロ容疑者のイラク移送認めず朝日新聞

 国際テロ組織アルカイダのメンバーだとしてイラクで駐留米軍に拘束された米国籍の男性が、イラク政府に身柄を引き渡されれば拷問を受ける恐れがあるなどとして、差し止めを求めていた裁判で、ワシントン連邦高裁は9日、原告側の主張をほぼ採り入れ、一審の差し止め命令を支持する決定を下した。

 「テロとの戦いは司法の裁きに優先する」との立場を取ってきたブッシュ政権にとっては、キューバ・グアンタナモの米軍基地内の特別軍事法廷を違法だとした昨年6月の連邦最高裁判決に続いて、司法からの警告で痛手を被る形となった。

 訴えていたのは、ヨルダンと米国の二重国籍を持つシャウキ・オマル容疑者(45)とその家族。

 高裁の書面によると、同容疑者は04年10月、バグダッドの自宅にいた時、米軍の急襲作戦で身柄を拘束された。米軍は、オマル容疑者が「イラク・アルカイダ機構」の中心人物だったザルカウィ容疑者の側近だと主張したが、公式に起訴しないまま拘束を続けてきた。05年8月には、イラク中央刑事法廷への引き渡し方針を決めた。

 オマル容疑者は復興支援がらみで仕事を求めてバグダッドにいただけ、と主張。05年12月に拘束の当否の審理を求める人身保護令状請求訴訟を、昨年2月にはイラク側への身柄引き渡し差し止め請求訴訟を連邦地裁に起こした。昨年9月の地裁判決は原告側が勝訴し、政府側が控訴していた。

連邦高裁のタテル判事は「米国が国際テロの脅威に直面する中でも、基本的人権を擁護するため人身保護令状を出す行為は続いている」と指摘し、政府側の主張を退けた。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000702130009