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2007年02月13日(火) 14時30分

金網式ガスストーブ、24年で中毒死61人読売新聞

 金網式ガスストーブで一酸化炭素(CO)中毒事故が起きていた問題で、同種のストーブによるCO中毒事故は1981〜2004年の間、全国で64件あり、61人が死亡、30人が中毒症状を起こしていたことがわかった。

 経済産業省は、都市ガス事業者から報告を受け、事故の事例をホームページに掲載していたが、パロマ工業(名古屋市)やリンナイ(同)などのガス湯沸かし器で事故が多発していたことが明るみに出るなか、金網式ガスストーブでも有効な対策が取られていなかった実態が浮かび上がった。

 経済産業省が81年以降の事故情報をまとめた「都市ガス事故情報データベース」によると、事故の内訳は、使用中に不完全燃焼を起こしたとみられるものが37件(死者32人、中毒23人)、ガスが室内に充満したとみられるもの26件(死者28人、中毒7人)、詳細不明1件(死者1人)。発生場所は、北海道、秋田、東京、愛知、石川、大阪、徳島、福岡など21都道府県にわたっていた。

 不完全燃焼の原因は、十分な換気をしないまま使い続けたケースが最も多かった。長年の使用で、燃焼のための空気を取り入れる空気口にほこりが詰まり、給気不足を起こしたものや、金網が変形しススがこびり付いたりして燃えにくくなっていたものも目立った。

 ガス器具メーカーには、89年1月の発売分から不完全燃焼防止装置の搭載が義務付けられたが、神戸市東灘区の老夫婦がCO中毒死し10日に遺体で見つかった事故では、この装置のないストーブが使われており、他にも旧型の機種を使い続けて事故に至ったケースは少なくないとみられる。

 経産省の原子力安全・保安院は「同種のストーブは、70年代に製造を終えたが、現在も4〜5万台が使われている」と推計したうえで、「事故は公表していないが、ガス事業者を通じ、消費者向けのパンフレットで使用時には十分な換気をするよう呼びかけており、対応に問題なかったと考えている」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070213it05.htm