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2007年02月13日(火) 21時17分

不正請求の「菅谷クリニック」、保険医取り消し処分に読売新聞

 美容外科などの医療行為で横浜市泉区の「菅谷クリニック」が診療報酬の不正請求をしていた問題で、神奈川、東京の両社会保険事務局は13日、同クリニックの保険医療機関指定と、同クリニックを開設する医療法人社団「天道会」の菅谷良男理事長(56)ら医師2人の保険医登録を取り消す処分を決めた。

 菅谷理事長については、組織的な不正請求を主導していたとして、神奈川社保事務局が近く、詐欺容疑で神奈川県警に刑事告発する。同県警では既に捜査を進めており、立件に向けて実態解明を進める方針だ。

 同クリニックをめぐっては、女性患者2人が2005年5月、自費と保険の二重請求があったとして、同県警に詐欺容疑で刑事告発していた。

 菅谷理事長のほかに保険医登録の取り消しが決まったのは、同クリニックの元勤務医、村上博喜医師(54)。

 厚生労働省と両社保事務局によると、確認された不正請求は、患者37人分について106件約408万円。不正請求の情報が得られたケースについて調べたもので、実際の不正請求額はさらに膨らむとみられる。天道会が東京都と神奈川県で開設する他の5クリニックについても、順次、監査を行う方針。

 不正の手口は、<1>ホクロなどにレーザー照射しただけなのに、切開を伴う「腫瘍(しゅよう)摘出術」などとして請求<2>シミ取りなどを行って、患者から自費の治療費をとっているのに、実態のない病名をつけて、診療報酬も請求する二重請求——など。菅谷理事長らは、診療報酬の請求とつじつまをあわせるため、診療録(カルテ)にうその記載もしていたという。

 同クリニックでは、自費診療と保険診療の組み合わせを例示した「治療費請求マニュアル」を作成していた。厚労省では、「マニュアルに沿って不正請求が大々的に行われた極めてまれなケース」としている。

 菅谷理事長は1985〜90年、厚生省(当時)に勤務し、医療保険の不正をチェックする医療指導監査官を務めたこともあった。

 菅谷理事長は処分について、「不当であり、行政訴訟で処分の取り消しを求める」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070213i215.htm