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2007年02月12日(月) 03時01分

不完全燃焼防止装置付きは定期点検外…リンナイ事故読売新聞

 ガス機器最大手「リンナイ」(名古屋市)製のガス湯沸かし器で一酸化炭素(CO)中毒事故が相次いだ問題に関し、不完全燃焼防止装置の付いた湯沸かし器が、ガス事業法に基づく定期調査の対象から除外されていることが分かった。

 事故の起きたリンナイ製品には防止装置が付いていたが、経済産業省は調査対象を見直してこなかった。ガス事業者の業界団体も、防止装置の付いていない製品の利用者に限って換気の徹底を呼びかけてきた経緯があり、防止装置付きの製品がチェックの盲点になっていた可能性が浮上した。〈関連記事35面〉

 ガス事業法は、ガス機器が適切に設置されているかどうかを定期的に調査するよう、ガス事業者に義務づけている。

 同法の施行規則(省令)では、対象となるガス機器として風呂釜と湯沸かし器を定め、換気のための排気筒の設置方法など具体的な調査項目を決めている。調査で安全基準を満たしていないことが確認された場合、ガス事業者は利用者に通知しなければならない。

 小型湯沸かし器を巡っては、1980年代にCO中毒による死亡事故が多発したことから、89年に不完全燃焼防止装置の装着が義務づけられた。

 しかし、92年12月、東京都中野区の弁護士平形幸夫さん(当時37歳)方で、防止装置の付いていない小型湯沸かし器によるCO中毒で一家5人が死亡する事故が発生。旧来型の製品が依然として多く使われている実態が明らかになったため、日本ガス協会の加盟業者は翌93年、防止装置のない製品の利用者に限って、ダイレクトメールで十分な換気を行うよう呼びかけた。

 平形さん方で使われていた湯沸かし器については、リンナイ製だったことが今回新たに判明した。

 同協会によると、その後は、防止装置付きの製品や屋外設置型の製品への転換が進み、防止装置の付いていない小型湯沸かし器は、90年に約450万台だったのが2005年には約18万台に減っている。

 こうした経緯もあり、ガス事業法の施行規則では、防止装置の付いた製品を調査の対象外にしてきた。

 しかし、今月9日に経産省が発表したリンナイ製品による5件の事故では、防止装置が製品に装着されていた。防止装置の作動で燃焼が停止した後、利用者が何度も再点火を試みるうちに大量のススが製品内部に付着し、不完全燃焼を感知するセンサーが作動しなくなった可能性が高いとみられている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070212it01.htm