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2007年02月12日(月) 00時00分

区役所カフェ企業が運営朝日新聞

  横浜市磯子区役所の1階にある障害者が働く喫茶店が今月、民間経営の「ほっと!スマイル」としてリニューアルオープンした。ファンケルスマイル(同市栄区)が運営にあたる。自治体が障害者の就労の場を確保するために設置した売店や喫茶店を、民間企業が運営するのは県内ではじめてだ。

(大貫聡子)

  ファンケルスマイルは健康食品メーカー、ファンケル(同市中区)グループの事務代行などをしている特例子会社だ。従業員56人以上の企業は障害者を1・8%以上雇用しなければならないが、厚生労働省が特例子会社と認定すれば、障害者の雇用が親会社分としてカウントされる。

  「ほっと!スマイル」では店長、副店長のほか障害がある社員3人が働く。健康食品メーカーらしく、青汁や体にやさしいメニューが並ぶ。

  障害者の雇用を目的とした喫茶店の多くは、市から光熱費や家賃などを補助されても、経営は厳しい。しかし、社長の関根晋さんは「1日の来庁者は2000人を超える。リピーターがつくことを考えれば、採算はとれる」と見込んだ。

  スマイル社では知的障害や身体障害がある社員33人が商品の荷造りや清掃などをしてきた。

  関根さんは「仕事の種類が多ければ多いほど、社員の可能性を試せる。ぜひチャレンジしたいと思った」と話す。

  オープンに向けて昨年10月、区役所職員300人余りに市場調査をした。約3割の職員が喫茶店に期待することとして、「おいしさ」をあげた。「いそっぷ」の店名だった時代は、食事メニューは電子レンジで温めるだけだった。

  そこで、『ほっと!』ではご飯をいためて、その上にやわらかい卵をかけた「とろっと玉子のオムライス」や、ランチタイムに数量限定で作る「スマイルオリジナル重」など工夫を凝らした。

  客の回転の速さで利益をあげる店ではなく、長居してもらえる客単価が高い店を目指そうと、デザートメニューも6種類と充実させた。

  知的障害がある橋本幸恵さん(33)は「いそっぷ」では接客の担当だったが、リニューアル後は調理の補助や洗い物を担当する。「喫茶店が好きなので楽しい」という。

  市障害福祉課は「民間企業が参入することでこれまで市が負担していた光熱費を負担してもらうことになる。補助金の削減にもなる」と期待している。

  「ほっと!スマイル」の営業は月〜金曜および第2、4土曜の午前10時から午後4時半まで。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702130005