記事登録
2007年02月12日(月) 00時00分

財務長官に対日圧力増を要求 下院幹部朝日新聞

 円安ドル高に不満を強める米下院の幹部らが9日、主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席しているポールソン米財務長官に対し、円安の是正に向け日本政府へ圧力をかけるよう求めた書簡を公開した。日本が超低金利などの政策を転換し、ドル売り介入で円高へ誘導するよう提案している。

 公表したのは、不振の自動車業界が集中するミシガン州などの民主党議員で、下院の貿易、商業、金融分野などの4委員長。ポールソン長官が「円はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に基づき、競争的で開かれた市場で取引されている」などと発言をしていることに異論を唱え、「日本政府に対し、円を弱くしている政策を転換するように圧力をかける」ことを求めた。

 書簡は、円安について「低金利や内需刺激に失敗している日本の金融・財政政策も反映している」「かつての日本政府による為替介入の効果が残っている」などと指摘。是正に向けて日本政府の政策転換を求め、円高へ誘導する方策として「日本政府が積み上げてきた膨大な外貨準備を売ること」と提案。ドルやユーロを売って円を買う介入を事実上求めた。

 G7で長官が「日本側につくこと」も懸念。円安批判を強める欧州勢と足並みを合わせ「ドル、ユーロとの不均衡を変えて欲しい」とした。

 米議会は保護主義的な野党民主党が今年から主導権を把握。過去最高の貿易黒字を更新している中国だけでなく、日本にも批判を強めるとみられていた。米自動車業界は大がかりなリストラの真っ最中で、円安に寛容な長官の発言に業界幹部は「大変失望している」と話していた。

 いまのところ民主党議員を中心とした対日批判は広がりに欠け、米政府が強硬姿勢に転じるとの見方は少ないが、自動車業界の不振や景気減速などが深刻になれば、政府の対応が変化する可能性もある。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000702130003