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2007年02月11日(日) 00時00分

旧岩崎別邸照らしたシャンデリア 復元 復元されたシャンデリア=国分寺市で 東京新聞

 旧三菱財閥・岩崎彦弥太氏のかつての別邸で、都の名勝に指定されている殿ケ谷戸庭園(国分寺市南町2)の展示室(旧本館食堂)のシャンデリアが復元され、10日、一般公開された。30年以上前に無くなっていたシャンデリア。来園者などから寄付を募り、昭和のモノクロ写真を手がかりに、できる限り忠実に再現した。 (服部展和)

 シャンデリアの本体はブロンズメッキを施した鉄製で高さ六十二センチ、直径七十センチ。三個のランプが、赤みを帯びた温かい色の光で展示室を照らす。天井からつるした鎖で上下させられる。

 同園は、南満州鉄道(満鉄)副総裁を務めた江口定條氏の別邸として大正初めに造られた。その後、岩崎氏が買い取り、一九三四年に本館や茶室(紅葉亭)などを整備。展示室は当時、本館の食堂だった。シャンデリアが無くなった経緯は不明で、七四年に都が買収した際、既に外されていたという。

 同園の魅力アップにつなげようと、関係者の間でシャンデリアの復元案が浮上。財団法人都公園協会の「都立公園サポーター基金事業」の一環で、一昨年七月に募金箱を設置するなどして寄付を呼びかけたところ、一年余りで目標の五十万円が集まった。

 シャンデリアの資料として残されていたのは、岩崎氏の別邸時代に食堂内を撮影したモノクロ写真一枚。依頼を受けたメーカーが、その写真や、展示室にある同様のデザインの壁掛け照明を参考にシャンデリアを制作。倉庫に保管してあった壁掛け照明用のかさを取り付けた。

 一般公開に先立ち式典があり、彦弥太氏の長男寛弥氏(76)も出席。子どものころ別邸をよく訪れた寛弥氏は「このシャンデリアの光は、武蔵野の自然に似合ういい色ですね」と話していた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20070211/lcl_____tko_____000.shtml