記事登録
2007年02月10日(土) 00時19分

リンナイ湯沸かし器でも死亡事故 神奈川県でCO中毒朝日新聞

 経済産業省は9日、リンナイ(本社・名古屋市)製の開放式小型ガス湯沸かし器を使っていた横浜市の男性(61)が7日に死亡していたと発表した。死因は一酸化炭素(CO)中毒とみられる。同社製の同型機や類似機種の湯沸かし器が原因とみられる事故が00年以降、少なくとも5件あり、3人が死亡していたという。同省はリンナイに対して、事故原因の究明を指示した。

RUS−5RX(リンナイのカタログから)

リンナイ湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故

リンナイ製の湯沸かし器による事故について発表する経産省の矢島ガス安全課長(左)と渡辺製品安全課長=9日午後10時44分、東京・霞が関で

記者の対応をする広報担当者=9日午後10時31分、名古屋市中川区でのリンナイ本社で

リンナイの本社ビル=9日午後、名古屋市中川区で

 経産省によると、7日に事故があった機種は「RUS—5RX」。東京ガスから「RN—405SD」として販売されていた。91年7月〜95年1月までに87万3214台が製造された。東京ガスによると、このうち約13万台は「405SD」で、91年から96年にかけて販売された。直近の点検時には5万8000台が使われていたことが確認されているという。また「5RX」の類似機種の「RUS—51BT」は94年5月〜97年1月までに、28万822台が製造された。

 事故にかかわったいずれの機種も現在は生産されていない。

 事故の5件は、00年1月30日(東京都荒川区西日暮里1丁目)、03年10月26日(豊島区池袋本町4丁目)、04年2月1日(鹿児島市)、同12月25日(広島市)、07年2月7日(横浜市)。合わせて3人が死亡、12人が一酸化炭素中毒になっていた。

 このうち7日に亡くなったのは、横浜市鶴見区馬場4丁目で一人暮らしをしていた石川一男さん(61)。7日に台所にあった湯沸かし器を使っている最中に一酸化炭素中毒になって倒れた。家族の通報で消防隊員が到着した時点で、石川さんはすでに死亡していたという。県警は行政解剖の結果、死因は一酸化炭素中毒とみている。8日に神奈川県警から連絡を受けた東京ガスが原因を調べている。

 事故にかかわった湯沸かし器には不完全燃焼防止機能がついていることから、経産省は何らかの原因でこの装置が作動しなかったと見ている。また、煙突がなく、室内の空気を使って燃焼するタイプだった。

 経産省は「使用する際は、換気扇などを回して換気が必要だ」としている。経産省が確認した限り、いずれのケースも換気扇が回っていないか、窓が開いていない状態だったという。また、内部にすすが大量に付着しているものがあり、不完全燃焼の原因になった疑いもあるという。

 リンナイと並ぶ業界大手のパロマ工業(名古屋市)でも、06年7月にガス湯沸かし器によるCO中毒事故が発覚。同社のこれまでの発表などによると、85年から05年までの間に計28件の事故が発生し、21人が死亡していた。いずれも配線を不正に付け替えるなどの方法で安全装置の機能を止める不正改造が行われ、危険な状態で燃焼し続けたことが原因と見られる。

    ◇

 リンナイ(名古屋市中川区)によると、事故の連絡は8日夕、当該機器をブランド販売する東京ガスから入ったという。

 問題の製品「RUS—5RX」は、「開放式小型湯沸かし器」と呼ばれるタイプの機器。リンナイによると、同製品は、機器自体に排気のための管などが付いていない簡易な構造で、使用時には、別に換気扇を使用する必要があるという。

 リンナイでは、過去に同タイプの機器に事故事例がなかったかなどを調べている。

http://www.asahi.com/national/update/0209/TKY200702090386.html