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2007年02月10日(土) 00時00分

〈TV端会議〉ひどい! けど、だまされるのも…朝日新聞

 人が健康を追い求めるのは自然なこと。だからこそ「発掘!あるある大事典2」(フジ系)の捏造(ねつぞう)事件に衝撃が走りました。

 「TVの前に座ってメモし、翌日はその食品を求めてスーパーに行くファンの一人でした。心の中で『そうかな?』と思っても、つい説得されてしまっていただけに、今回の事件はショックです」(福岡県・松本守・74歳)。「マメではない私が、これならできそうと飛びついた一つが納豆ダイエット。捏造発覚で『楽にできる健康法は効果がない』と肝に銘じた」(神奈川県・今野節子・48歳)という方もいました。

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 気になりながらも距離を置いて見ていた人からは、こんな感想が。「信じなくて良かった、試さなくて良かった、というのが本音。色々と紹介される健康情報が有効なら、今頃、メタボリックシンドロームも生活習慣病もこの世に存在しないはずですから」(東京都・匿名希望・30歳男性)

 母親が健康番組ファンという方は「私の母も振り回されていた一人。でも、別の病気で入院したら、糖尿病も肥満も高血圧も治ってしまった。テレビの情報より、やはりプロが栄養計算した食事の方が良かった、ということです」(横浜市・井上かずみ・40歳)。

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 視聴者に対しても厳しい意見があります。「だまされた、ひどい、と言う人がいますが、もし『1日1キロ納豆を食べよう』みたいなことをTVが言っても信じるのでしょうか。文句を言う前に反省を」(埼玉県・そらまめ・19歳女性)、「健康は日々の習慣によって培われるもの。手軽で即効的な健康法やダイエットに飛びつく私たち自身にも反省が求められている」(神戸市・中村仁美・49歳女性)。

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 こんな付き合い方を薦める声もありました。「占いと同じこと。いいとこ取りで良いのではないですか。バラエティーなんですから」(さいたま市・菱沼真紀子・59歳)

 では、健康番組に求めるものは。

 「情報を提供する側は、影響力の大きさをきちんと認識し、受け手側を混乱させたりだましたりしないよう努力するのは当然」(東京都・A.N・21歳女性)

 ◆記者もひとこと

 健康保険や年金といった社会保障制度の将来の不透明さや不安感が、自衛の策としての「健康」に現代人を駆り立てる。そうした意味で、視聴者の弱みを利用して視聴率を稼ごうとした今回の捏造問題に対して、多くの投稿には「テレビ不信」の声や思いがにじみ出ていました。世界保健機関(WHO)は「肉体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」を健康と定義している。バランスが肝要ということの意味を、いま一度、考えてみたい。

http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200702100249.html