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2007年02月10日(土) 00時00分

市、未払い分支給へ朝日新聞

 ■在外長崎被爆者の健康手帳
  ・最高裁判決受け200人超に

 日本を離れたことを理由に健康管理手当の支給を打ち切られた在外被爆者に対し、長崎市は過去にさかのぼって支給する準備を始めた。ブラジル在住の被爆者が未受給になっている過去の手当の支給を求めた訴訟で、最高裁が6日、被爆者側の請求権に時効は適用されないとの判決を示したため。過去に受給権を得ていた被爆者に限られるが、市によると対象者は200人以上に上るとみられるという。

 最高裁判決を受けて、厚労省は時効を理由に支給してこなかった97年11月以前の手当をすべて支払う方向で検討中。長崎市は厚労省の方針が示されるのを待って、支払いを進める方針だ。
 市によると、81〜85年の日韓両政府の合意に基づく渡日支援事業で在韓被爆者123人、82年からは市の事業で北南米の被爆者約60人(時効該当者)が市で受給権を得た。ほかにも民間支援で受給権を得た被爆者もおり、少なくとも対象者は200人とみている。
 この中には、離日を理由に未払いになった手当を求める裁判を起こした在韓被爆者、故崔季澈(チェゲチョル)さんの遺族も含まれている。崔さんの訴えは1月、福岡高裁で時効を理由に訴えを退けられ、上告中。
 崔さんの訴訟を支援している在外被爆者支援連絡会の平野伸人共同代表は「安倍首相と厚労相、長崎市の伊藤一長市長には謝罪を求める」と話している。平野さんは14日に市と直接交渉する予定で、訴訟を続けるかどうかは市の対応を見て決める考えだ。

 過去の手当の請求権に時効が適用されるかどうかが争点になった在ブラジル被爆者の訴訟では、最高裁が在外被爆者に手当を支払わないとした国の通達は違法と認定。「違法な事務処理をしていた県が時効を主張するのは信義則に反して許されない」との判断を示している。

http://mytown.asahi.com/nagasaki/news.php?k_id=43000000702100002