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2007年02月10日(土) 00時00分

リンナイ製で3人死亡 湯沸かし器事故、12人が中毒 死亡事故があったリンナイの瞬間湯沸かし器RUS−5RXの同型器 中日新聞

 経済産業省は9日、ガス器具最大手「リンナイ」(名古屋市)が製造した開放式小型湯沸かし器で、2000年1月から今年2月7日までに5件の一酸化炭素(CO)中毒事故が発生、計3人が死亡し、12人に中毒症状が出ていたと発表した。ほこりや、すすなどが事故につながった疑いもあり、同省は使用に際して十分な換気を行うよう呼び掛けている。リンナイの内藤弘康社長は10日未明、名古屋市の本社で記者会見し、「お亡くなりになった方に心よりお悔やみ申し上げます」と頭を下げた。

 事故があったのは1991年7月から97年1月に製造した「RUS−5RX」と「RUS−51BT」の2機種で、約115万4000台が生産されている。

 同省は、この2機種に固有の問題かどうかを見極めるため、同社に原因の究明を指示した。リンナイは事故を起こしたのと同型機種について有料で点検する。

 湯沸かし器事故をめぐっては同じく名古屋市に本社のあるパロマ工業製品をめぐっても死亡事故が相次ぎ、警視庁は1月、業務上過失致死傷容疑で、親会社パロマの本社を家宅捜索するなど捜査が続いている。

 同省によると、死亡事故があったのは、2003年10月の東京都豊島区内の女性=当時(70)▽04年12月の広島市南区の女性=同(15)▽07年2月の横浜市鶴見区の男性(61)−の3件。いずれも換気扇が回っておらず、部屋は密閉状態だったという。

 原因については「不完全燃焼を防止する安全装置が起動と制止を繰り返したことで、湯沸かし器内部の熱交換器の周りにすすがたまり、安全装置のセンサーが作動しなくなっていた」と説明した。

 すすの付着は、東京都と広島市の2件の死亡事故に共通してみられるという。

 同省は2月8日、東京ガスからの連絡を受けて横浜市の事故を把握。同機種について調査を進めた結果、過去の死亡事故との共通点が見つかったことから、リンナイ側から事情を聴き、注意を喚起するため発表に踏み切ったとしている。

 同省はパロマの事故発生を受け、他メーカー製品の安全性を調査。リンナイの2件の死亡事故を把握した。この時点での公表も検討したが「利用者が何度も再点火を試みるうちすすがついたことが原因と推定していたため、公表しなかった」という。

 <リンナイ> ガス器具国内最大手。家庭用テーブルこんろ、湯沸かし器、ファンヒーター、ストーブなどの商品を持つ。1920年に「林内商会」として創業。社名を50年に「林内製作所」とした後、71年に「リンナイ」に変更。2006年3月期連結決算の売上高は、2129億円、純利益は52億円。関係会社を含まない従業員数は3146人。本社は名古屋市中川区。

 <開放式小型湯沸かし器> 燃焼用の空気を室内から取り、室内に排出する方式の湯沸かし器。たくさんの空気を燃焼に使うため、換気を行わないと空気不足によって一酸化炭素中毒を引き起こす危険がある。パロマ工業のケースは半密閉式で、燃焼用の空気を屋内からとり、排気筒を利用し屋外に排出する方式だった。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070210/mng_____sya_____008.shtml