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2007年02月10日(土) 21時30分

「腎臓売買」認める方針を確認…比保健省が公聴会読売新聞

 【マニラ=遠藤富美子】生体腎移植の事実上の売買を公認する新制度導入を目指すフィリピン保健省は10日、マニラ首都圏で公聴会を開催し、関係者の意見を聴取した。

 会議では渡航移植する外国人患者の受け入れについて、具体案は協議されなかったものの、腎提供者に一定の報奨を認める方向で最終調整に入ることが確認された。

 同保健省は、今後、公聴会を踏まえ、新制度の裏付けとなる法律の制定を検討する。

 新制度の骨子は、外国人患者に<1>腎臓提供者(ドナー)への生活支援費<2>別のフィリピン人患者の移植手術代——を支払わせるというもの。

 公聴会には医療関係者ら約200人が出席し、非血縁者間の生体腎移植について、倫理・法学的な観点から意見が交わされた。臓器売買を巡っては、「法に反しない限り、臓器売買は患者・ドナー双方に有益」(英国の生命倫理学者)という売買容認派の発言が目立ったのに対し、一部の出席者から「神から与えられた身体の一部を売買する行為は許し難い」(フィリピンのカトリック神父)と強い反発も出た。

 公聴会はこの日で終了、最後に、政府方針の声明案が提示され、「国及び社会は、フィリピン国民に対し、臓器の提供及び『報奨』『感謝の贈り物』を社会から受けとることを容認する」との文言が盛り込まれた。同保健省は、3月に声明案を採択し、新制度導入に向け動き出したい考えだ。

 会合は開催直前、「メディアの混乱を避けるため」(政府筋)、非公開と決められたが、当日になり急きょ公開された。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070210i213.htm?from=main2