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2007年02月10日(土) 00時00分

米アップル『幹部報酬水増し』疑惑 東京新聞

 【ニューヨーク=池尾伸一】米電子機器大手アップルが自社株購入権(ストックオプション)を利用した幹部報酬の水増しにかかわっていた疑惑に関連し、同社のジョブズ最高経営責任者(CEO)がトップを兼任していたアニメ制作会社ピクサーの著名監督、ジョン・ラセター氏への報酬についても疑惑が浮上していることが九日、明らかになった。ウォールストリート・ジャーナル紙が報じた。

 ラセター氏はコンピューター・アニメの「トイ・ストーリー」や「バグズ・ライフ」などの大ヒット作を放った監督。展開次第で子供たちの夢を壊すことになりそうだ。

 ジョブズCEOはピクサーの会長兼CEOも務めていた二〇〇一年当時、ラセター監督と契約を更新する際に五百万ドルの一時金などのほか、ピクサーの百万株分の購入権を与えた。だが、購入権付与日は契約を結んだ日より約三カ月前の前年十二月六日になっていた。この日は株が年初来の安値を付けた日。通常、株の購入権は付与された日の価格で将来も株を購入できる権利で、付与日を株価が安かった日に偽って記載すれば、報酬を水増しすることができる。証券取引委員会(SEC)は、同氏への報酬を水増しするために付与日が操作された可能性もあるとみて調査している。

 ラセター氏はピクサーが昨年、ウォルト・ディズニーに買収されたのに伴い、ディズニーのアニメ部門の責任者に就任している。同氏はアカデミー賞も二回受賞している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20070210/eve_____kok_____003.shtml