記事登録
2007年02月10日(土) 00時00分

ふげん建屋強度不足 東京新聞

 日本原子力研究開発機構は十日、二〇〇三年に運転を終えた新型転換炉原型炉ふげん(福井県敦賀市)で原子炉補助建屋のコンクリート強度を測定した結果、三十四カ所中二十五カ所で設計基準を下回っていたと発表した。

 原子力機構は「厳重に施工管理しており、こうした結果が出ることは信じ難い。測定精度に疑いがある」として、再測定する。抜き取り作業や分析は、原子力機構の下請け会社が行っていたが、この会社は検査を専門にする会社ではないため、再測定は専門の検査会社に依頼する方針。

 原子力機構によると、二十五年間の運転による劣化状況を調べるため、原子炉補助建屋の壁面の三十四カ所で、直径十センチの円柱状にコンクリート試料を抜き取り、圧力をかけて強度を測定。その結果、二十五カ所では設計基準で求められる強度の二二・〇六N(ニュートン)を下回り、最も低い個所では一〇・六Nしかなかった。

 今回の検査は、原子力安全基盤機構(東京)が原発の劣化研究の一環として原子力機構に委託。試料採取前に、壁の外から非破壊検査で強度を測定した際には、いずれの個所も設計基準を満たしていたという。

<メモ>ふげん 日本が独自に開発した新型転換炉の原型炉。出力は16万5000キロワット。通常の原発が濃縮ウランを燃料とするのに対し、天然ウランやプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料など多様な燃料が使えるのが特徴。1978年に初臨界。原型炉の次の段階となる実証炉の開発が経済性などを理由に断念され、2003年に運転を終了。廃炉、解体に向けた準備が進んでいる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070210/eve_____sya_____003.shtml