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2007年02月10日(土) 18時50分

出会い系サイト犯罪続発 自衛必要朝日新聞

 援助交際の仲介や広告メールの大量発信——。今年に入ってから、出会い系サイトをめぐる事件への県警の摘発が相次いでいる。一連の捜査からは、子どもたちへの悪影響にとどまらず、一般市民の快適なネット利用の妨げにもなっている実態が浮かび上がる。(加地ゆうき)

 少年課などが1月22日に児童買春・児童ポルノ禁止法違反(買春周旋)容疑で逮捕した千葉市の男(37)は、出会い系サイトで援助交際を求めている男女をネット上で仲介し、買春をあっせんしていたとされる。

 調べでは、男は出会い系サイトで女子高生らに「安全・確実に金を稼がないか」とメールで持ちかけ、顔写真を収集。その写真を使って生徒になりすまし、同じサイトに書き込みをしていた男性にメールを送って客を集めていたという。

 男は、女子高生らが男性客から受け取った金から、1万円前後を自分の口座に振り込ませていた。04年9月〜07年1月の間で約1千万円の利益を得ており、約880人の男性客に買春の仲介をしていたという。

 少女を買春した容疑で県警に検挙された人数は05年の22人から06年は36人に。同課は増加の一因に少女が出会い系サイトに簡単に書き込める環境もあるとみている。

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 業者側の過剰な広告も問題になっている。

 発信者情報を偽り、広告メールを大量発信していたとして、1月16日に迷惑メール規制法違反の疑いで社長らが逮捕された出会い系サイト運営会社は、2カ月間で約54億通の広告メールを送っていたとされる。

 県警によると、同社が業者から購入したり、インターネット上から収集したりして保管していたメールアドレスは約230億個。

 「気軽で楽しいお付き合いができればと思って紹介してもらいました」

 まず、そんな広告メールを自動送信し、誘い込まれた主に男性客に対して、約100人のアルバイトの男女がメールのやりとりをしていた。県警によると、利用料などから毎月約1億2千万円の収入があったという。

 同法では、迷惑メールの受信を拒否できるよう、広告などの送信者に連絡先を表示するよう義務づけている。しかし、フリーメールなどで取得した「捨てアドレス」の場合、送信者が管理していないため、意味をなさなくなる。

 この業者の場合、架空の人物の名義などで取得したフリーメールのアドレスを使っていた上、中国・黒竜江省などに設置したパソコンを遠隔操作して、同国内から発信していた。1日あたり約9千万通のメールを送信していたという。

 県消費者センターによると、迷惑メールなどインターネットに関する被害相談や苦情、問い合わせの件数は05年度、3668件寄せられた。迷惑メールに書かれたサイトのアドレスをクリックすると、会員登録されたと称し、不正に料金を請求する「ワンクリック詐欺」に関する被害相談もあるという。

 同センターは迷惑メール対策として、迷惑メール撃退サービスを利用する▽必要以上にアドレスを教えず、ネット上にも書き込まない、などの点を挙げている。

 県警のサイバー犯罪対策室は、身に覚えのない料金請求メールについて「住所などを告げていなければ、ネット上で個人情報を取得することは困難で、取り立てに来ることもほとんど不可能。基本的に無視を通して欲しい」と呼びかけている。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702100004