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2007年02月10日(土) 18時48分

続いていた「カラ残業」 県裏金問題で処分朝日新聞

●新たに「報告隠し」も 出先機関に不正集中●

 県が9日発表した裏金調査の最終報告で、片山善博知事の在任中も一部でカラ残業による裏金作りが続き、別の部署では2度の全庁調査でも報告していなかったことが明らかになった。裏金をめぐる14人の懲戒処分はストライキを除くと過去最大規模になり、口頭注意なども含めると処分は55人に及んだ。一方で「職員の私的着服はなかった」(県職員課)として免職や停職の重い処分は見送られた。裏金作りは出先機関に集中しており、行政の透明化を進めてきた片山県政の課題も浮き彫りになった。

 実績以上の残業代を職員に支給したあと、一部を課に還元させて裏金にする「カラ残業」。八頭県土整備局建設総務課(旧郡家土木事務所総務課)はこの手法で01、02年に裏金218万円を作っていた。災害復旧工事での仮設トイレのくみ取り代や応援職員のタクシー代など業務に関連して使う一方、懇親会などの私的支出も131万円あったという。

 「実績の残業の範囲内での支給だった」。当時の副所長はカラ残業を否定したが、県行政監察室が当時の残業データを調べ、関係者からの聞き取りでカラ残業と認定した。「カラ残業を主導した副所長は本来なら停職相当」(県職員課)だが、06年に退職しており責任は問えないという。この元副所長は調査協力を拒否しているという。

 一方、西部総合事務所地域整備課では新たな裏金の存在が発覚した。同課には片山知事が就任した99年度以前に作られた出所不明の432万円が残り、99年度以降も職員の球技大会費や送別会費に29万円を使っていた。

 昨年9月以降の2度の全庁調査では、課長が報告を怠り、12月中旬に上司に報告し
た。報告が遅れた理由は「過去の課長らに責任が及ぶことに悩んでいた」といい、同課長は減給3カ月(10分の1)の懲戒処分と、9日付で課長補佐への降格の分限処分になった。

 昨年10月時点で片山知事は「知事就任以降の裏金作りはない」と自信を見せていたものの、6部署で近年の裏金作りが見つかり、いずれも本庁以外の出先機関だった。調査した法橋誠・行政監察監は「片山県政の透明化が出先機関にまで浸透していなかった。今回分かった問題点を検証し、よりクリーンな組織を目指したい」と話した。

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