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2007年02月10日(土) 03時01分

政務調査費、全面公開まだ3割 119議会、本社調査朝日新聞

 地方議会議員の調査研究用に交付される政務調査費をめぐり、全都道府県と政令指定市など主要市、東京23区の計119議会のうち、すべての支出で領収書を公開したり、公開の方針を決めたりしている議会が約3割にとどまることが、朝日新聞社の全国調査でわかった。東京都目黒区議会などで不適切な支出が表面化し、統一地方選を控えて公開に踏み切る議会が相次ぐが、「5万円以上」など条件つきの例も多い。「政治活動の自由を損なう」などとして一切公開していない議会は半分強を占め、使途の透明性確保に課題が残る。

 政調費は01年、地方自治法改正で導入され、自治体から議会の会派または議員に交付される。会派や議員は収支報告書を議長に提出しなければならないが、紙1枚だけの概略を記したケースが大半で、使途を証明する領収書の添付や公開がなければ、実態がわからないのが現状だ。

 調査は47都道府県と15指定市、指定市を除く34の県庁所在市、東京23区の計119議会を対象に実施。領収書の公開状況や交付額などを聞いた。

 すべての支出を対象に領収書を添付させ、それを公開している都道府県議会は岩手、宮城、長野、鳥取の4県で、指定市と県庁所在市は静岡、長崎など13市。東京23区は目黒、練馬など7区だった。さらに、新潟など2市と11区がすべての支出について公開の方針を決定。公開済みを合わせると37議会にのぼる。

 一方、「条件つき」公開の議会は北海道、京都など6道府県と、秋田、福岡など8市区。三重など4県と、北九州など3市区が条件つきで公開方針を決めており、合わせて21議会になる。ただ、公開対象は「1件につき5万円以上」が大半で、「使途のほとんどが不透明」との批判が根強い。

 公開するかどうか検討中を含め、非公開なのは東京、愛知、大阪など33都府県と28市区の計61議会。「政治活動の自由と独立性を損なう」「議員活動は公開になじまない」などが主な理由だ。

 都道府県議会の議員1人当たりの交付額(月額)は、東京が最高で60万円、最低が徳島、沖縄などの25万円で、平均は35万円。指定市も60万〜25万円で、平均は41万円だった。指定市を除く県庁所在市は25万〜3万円、東京23区は24万〜12万5000円と開きがある。これらの年間総額(06年度予算ベース)は約223億円にのぼる。

 政調費をめぐっては、自民党の品川区議団が01、02年度にスナックなどの飲食費に充て、東京地裁が昨年4月の判決で違法と判断。同区議団は全額返還した。青森県弘前市議が支出した観光地視察の費用や携帯電話代についても、青森地裁の違法判決が出ている。同11月には目黒区の公明党区議6人がマイカーのカーナビや車検代などに使ったことを認めて全員辞職した。

 このため、改革の姿勢を打ち出す議会が急増。条件つきを含め領収書を公開した議会はここ数年、1〜8件で推移していたが、07年度は19議会が加わる。荒川区議会は昨年12月、公私の区別が難しい経費の削減に取り組み、交付額を月16万円から8万円に減らすことを決めている。

http://www.asahi.com/politics/update/0210/002.html