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2007年02月10日(土) 12時11分

新型転換炉ふげんのコンクリート強度、設計基準下回る?朝日新聞

 日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)で実施された建屋のコンクリート劣化調査で、実際にコンクリート片を抜き取って行った強度の実測値が設計基準値を下回っていたことが10日、経済産業省原子力安全・保安院の調べでわかった。外部から測る非破壊検査では基準を上回っており、実測検査と食い違った。実測値が正しければ、強度不足の建屋を使い続けただけでなく、建物の強度調査に広く使われる非破壊検査の信頼性が問われることになる。保安院は、非破壊検査と実測値のデータが食い違った原因の究明を進める。

廃炉準備中の新型転換炉「ふげん」=06年6月、本社ヘリから

 「ふげん」は03年に運転を終了、廃炉準備が進んでいる。劣化調査は原発の老朽化対策の一環で、「ふげん」を利用して国が実施している。

 保安院などによると、原子炉補助建屋の壁面6カ所から採取したコンクリート塊の34試料について、荷重を加えて破壊し強度を調べたところ、5カ所25試料が設計基準値を下回った。このうち、地下1階の壁面から採取した10試料は、設計基準値の約半分の1平方ミリあたり10.6〜14.0N(ニュートン=力の単位)を記録。だが、昨年10月以降に実施した同じ場所の非破壊検査では27.7〜37.9Nと基準値を上回っていた。

 非破壊検査は、建物を壊さずに強度を測れるため、原発をはじめ多くの建物の検査に利用されている。測定者の技量により誤差が大きくなる場合もあるとされる。一方、原子力機構によると、約30年前のふげんの施工時の検査では建物と同じコンクリートの測定で設計基準を満たしていた。

 保安院放射性廃棄物規制課は「非破壊検査は原発以外の分野でも長年の実績がある。現時点で信頼性が揺らぐものではないと考えている。今回の実測値にはばらつきが目立つため、コンクリート試料の測定法に問題がなかったかなど再確認を求めている」としている。

http://www.asahi.com/national/update/0210/TKY200702100148.html