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2007年02月10日(土) 16時20分

リンナイ、パロマの教訓生かせず 周知、また遅れ朝日新聞

 一刻も早くユーザーに情報が届いていれば——。リンナイ製の湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒とみられる死亡事故が相次いだ問題で、メーカーや行政は今月7日に3人目の犠牲者が出るまで、広くユーザーに呼びかけることをしていなかった。21人が死亡したパロマ工業製湯沸かし器によるCO事故は、ユーザーに事故情報を周知しなかったことも被害拡大の一因とされる。パロマ問題の発覚は昨年7月。その教訓は生かされなかった。

 「パロマさんの場合はユーザーの方が全く通常の使い方をしていた」。パロマの事故との違いを問われた内藤弘康・リンナイ社長は、10日未明の記者会見で語気を強めた。「開放式は換気が重要。(リンナイ製の)事故は換気扇が回っていなかった。正しい使い方をしていただけなかったのは残念」と続けた。

 燃焼後の排気がそのまま室内に流れる「開放式」は、パロマで問題になった強制排気装置付きの機器よりも室内に一酸化炭素や二酸化炭素が充満する危険は高い。換気扇の使用や窓を開けての換気が重要だ。内藤社長は「換気扇を回して使用するのは常識」と話した。

 しかし実際には、調査中の7日の事故を除き過去の4件ではすべて換気扇は止まっていたという。ユーザーに広く周知しなかった理由について、内藤社長は「機器の問題ではなく、特殊な利用が原因と考えていたため」と説明した。

 一連のパロマの事故が報道された際に、自社の事故が気にならなかったのかという問いには「そうですね」と答えるにとどまった。

 パロマの事故が発覚して以降、リンナイの湯沸かし器の売り上げは伸びている。今回、事故のあった機器の後継機種は、前年比の2割増で年間40万台売れているという。

 リンナイ幹部は会見後、パロマの事故が明らかになって以来「今思えば(リンナイの4件の事故が)いつか問題になるのではないかと不安になった」と話した。

http://www.asahi.com/national/update/0210/TKY200702100228.html