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2007年02月10日(土) 13時59分

経産省の指示仰ぎ対策したが、一般に周知せず リンナイ朝日新聞

 ガス器具大手のリンナイ(名古屋市)が製造した開放式小型ガス湯沸かし器で00年以降に一酸化炭素(CO)中毒事故が相次いでいた問題で、同社は10日未明の記者会見で、04年12月に死亡事故が起きた際に経済産業省から指示を受けて対策をとっていたことを明らかにした。ただ、事故を公表してユーザーに注意を呼びかけることはしておらず、00年1月以降のすべての事故の報告を受けていた経産省も、ユーザーには周知していなかった。

事故にかかわった湯沸かし器の同機種「RUS—5RX」を報道陣に説明するリンナイの幹部=名古屋市中川区のリンナイ本社で

CO中毒事故に至る経緯

 経産省によると、事故は、00年1月30日(東京都荒川区)▽03年10月26日(豊島区)▽04年2月1日(鹿児島市)▽同12月25日(広島市)▽07年2月7日(横浜市)——の計5件。3人が死亡、12人が中毒になった。

 このうち、豊島区で起きた事故(1人死亡)と、広島市の事故(1人死亡、2人中毒)、横浜市の事故(1人死亡)は、湯沸かし器内部に大量のすすが付着していたという。

 これらの事故は、いずれも発生直後に現地のガス会社から経産省に報告が上がっていた。

 リンナイの説明では、広島市で死亡事故が起きた後、湯沸かし器本体に表示してある換気を促すラベルを、より分かりやすくするよう、経産省から指示を受けた。同社は併せて、自社のホームページに不完全燃焼になると炎がどのような色になるかを写真つきで掲載するなど、対応策をとったという。

 記者会見で同社の内藤弘康社長は、横浜市の事故を除く過去4件の事故現場ではいずれも換気扇が回っていなかったことを指摘。「密室状態で使うということは想定していない」と述べ、使用法に問題があるとの考えを強調した。

 ただ、ユーザーに対する呼びかけについては「ホームページ程度では足りないと言われれば、そういう見方もあるかと思う」「もっと周知の仕方をしっかりすべきだったかとも感じる」と話した。

 経産省はユーザーに広く周知しなかった理由について、9日の記者会見で「換気をしていないなど使用上の問題で、機種固有の問題とは考えていなかった」と説明。死亡事故が3例となったことから、今回は原因があるかどうかは不明のまま、注意喚起のために公表したとしている。

http://www.asahi.com/national/update/0210/TKY200702100213.html