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2007年02月09日(金) 11時36分

炉部品ずさん管理読売新聞

昨年2月の火災 原子力機構が報告書

 原子力研究開発機構は8日、東海村の東海研究開発センターの溶融炉で昨年2月に起きた火災の報告書を発表した。出火原因となった炉の部品は、繰り返し使うと劣化するため交換が必要とされていたのに交換時期の目安を決めていなかったなど、ずさんな管理体制が浮き彫りになった。

 火災は、炉で約1500度に溶かした廃棄物を炉の下部にある容器に流し込む、炉と容器の間をつなぐ蛇腹部分で発生した。

 蛇腹内側には、高温に溶けた廃棄物から蛇腹を守るため、1500度にも耐えられる「スリーブ」と呼ばれる防火布を取り付けている。ところが、火災発生日の直前にスリーブを補修した際、約500度の耐火性しかないシートをスリーブの代用としたため、燃えて火元となった。

 機構が調査したところ、スリーブは繰り返し使うと穴が開くため交換が必要とされていたのに、交換の目安を決めていなかったことが分かった。また、スリーブは外国製で、取り寄せに数か月かかるにもかかわらず、交換用スリーブを持っていなかった。さらに、スリーブは蛇腹本体に縫いつけられ、交換に手間がかかる構造になっていた。こうした要素が重なってスリーブを代用シートで補修することになり、火災につながったとみている。

 機構では、9月ごろまでかけ、スリーブの状況を監視できるカメラを設置したり、蛇腹の構造改善などを行って再発を防止する方針だ。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ibaraki/news001.htm