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2007年02月09日(金) 03時01分

甘い管理、自衛隊秘密文書27件紛失…22件公表せず読売新聞

 陸海空3自衛隊で2000年度以降、自衛隊法で定めた秘密文書を紛失する不祥事が計27件起きていたことが分かった。

 防衛省は、表面化したものなど5件を除き、「文書の捜索を誘発し、情報漏えいが拡大するおそれがある」として、大半を公表していなかった。

 同省は「誤って廃棄するなど単純ミスが多い」と説明するが、会議終了後、文書回収を怠るなど、組織的な管理の甘さが原因とみられるケースもあった。

 同省によると、秘密文書の紛失や流出といった管理ミスは「秘密保全事案(事故)」と呼ばれ、防衛相への報告が義務づけられている。この約6年半の間に、陸自で5件、海自と空自でそれぞれ11件起きたが、秘密区分は「秘」か、区分を決める前の「指定前秘密」で、「極秘」以上のものはなかったという。

 ずさんな管理で紛失した例では、04年12月、陸自補給統制本部(東京)で会議出席者に指定前秘密文書を貸し出した際、管理規則を知らない隊員に貸し出しや回収を担当させたため、貸出簿への記入や会議終了直後の回収などが行われず、翌日、1部が行方不明となった。この問題では、12人が減給などの処分を受けた。

 また、秘密に相当する作成途中の文書を、「駅のコインロッカーからかばんごと盗まれた」と陸自隊員が届け出る事案も昨年起き、現在も同省が調査している。

 海自では、00年に摘発された、3等海佐がロシアの駐在武官に秘密資料を漏えいした事件や、05年と06年にファイル交換ソフト「ウィニー」で「秘」文書がネット上に流出した事例など4件を過去に公表しているが、「他の7件は明らかにできない」とし、空自は「3件が紛失、8件が誤廃棄した可能性が高いもの」としている。

 また、秘密には当たらないが、秘密文書に準じて扱うことにしている「注意」文書について、陸自で同期間に65件の管理ミスがあった。秘密保全事案と合わせた70件の内訳では、誤廃棄が34件、ネット上への流出12件、紛失9件などだった。同省は、秘密文書の管理が複雑化している点にも問題があるとみて、4月末をめどに、区分や指定文書の数を必要最小限にするよう見直しを進めている。

 防衛省情報保全企画室の話「厳格に定められた管理の手続きを守っていれば紛失も誤廃棄も起きないはずで、事案が起きたのは隊員の意識の問題と受け止めている。今後も教育・指導を厳正に行っていく」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070209it01.htm