記事登録
2007年02月08日(木) 00時00分

ユーチューブとJASRACなどが初の協議朝日新聞

 世界最大の動画投稿サイトを運営する米ユーチューブと、日本音楽著作権協会(JASRAC)やテレビ局など日本の著作権関連23団体が6日、投稿映像の著作権侵害を巡って初めて協議した。日本側は違法状態の抜本的解消を要求したが、はかばかしい成果はなかった。米国では著作権侵害を指摘する企業がある一方で、広告収入を目当てに映像使用を認めるなど現実的な対応も出ており、接点を探る努力が今後も続きそうだ。

 「話し合えたことは有意義だが、著作権侵害防止の具体的な成果には満足していない」。6日夕、著作権侵害の解消に向けたユーチューブとの初協議を終え、日本側代表が開いた記者会見で、菅原瑞夫JASRAC常任理事は語った。

 デジタル動画を投稿し、自由に検索・閲覧できるユーチューブ。利用者には便利だが、著作権者の許諾を得ていない過去のテレビ番組などが多数投稿されている。

 このままネットでの映像閲覧が拡大していけば、テレビ番組の視聴時間が減ることにもなりかねない。テレビ局にとっては、制作にあてる企業からの広告料が減ることも大きな懸念材料だ。

 この日の協議には、NHKや日本民間放送連盟(民放連)、在京キー局なども顔をそろえ、違法状態の抜本的解消をユーチューブに要求。指摘を受けて違法映像を削除するのではなく、「違法投稿を未然に防ぐ措置をとってほしい」と訴えた。

 だが、ユーチューブの共同創設者チャド・ハーレー、スティーブ・チェン両氏は「できるだけ早く違法投稿への警告を日本語で表示する」「著作権を保護する技術的取り組みは続ける」と述べただけといい、日本側を失望させた。ユーチューブがその後発表したコメントも、「これまでも著作権を尊重してきた。今後も建設的に意見交換していきたい」と形式的な内容にとどまった。

 日本側が未然防止策を求めるのは、違法投稿者とのいたちごっこを断ち切りたいからだ。昨年10月には、ユーチューブ側に違法映像を削除させ一定の成果も上げたが、投稿は1日7万件とも言われ、違法投稿も後を絶たない。

 ネット上のデジタルコンテンツは、相次ぐ著作物の違法配信に著作権団体がその都度指摘する歴史でもある。日本レコード協会が、ファイル交換ソフトを使って違法な音楽配信を行った発信者から損害賠償の支払いを受けた例もある。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000702080005