記事登録
2007年02月08日(木) 00時00分

内容明かさずおわびに終始 『あるある』捏造、関テレが総務省に報告書 東京新聞

 「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)問題で七日、総務省に報告書を提出した関西テレビの千草宗一郎社長。提出後、詰めかけた報道陣から質問攻めにあったが、「お話できない」を繰り返し、のらりくらりとした姿勢に終始。真相解明のための社内調査が難航していることをうかがわせた。 (藤浪繁雄)

 千草社長は午後五時前に、大阪市中央区の総務省近畿総合通信局を訪れ、捏造についての事実関係をまとめた文書を提出した。局に入ってから出てくるまでは、わずか二、三分。提出後、待ちかまえていた五十人を超える報道陣を前に、「重ねておわび申し上げます」と深々と頭を下げたが、文書の内容については「詳細は(有識者で構成する社外の)調査委員会にあげていて、お話しできない」と十回も繰り返した。自身の進退についても「原因究明と再発防止、信頼回復にまい進するのが責務」と従来通りの見解で、辞任には言及しなかった。

 「何件の(捏造)事例を?」「納豆以外にはどの例を?」などの質問に対し、「社内調査した結果を調査委員会が、客観的に多角的に徹底的に調べている」と表情を変えることなく、声の抑揚もつけずに淡々と答えた千草社長。肝心の内容は一切明かされず、まさに“のれんに腕押し”の問答だった。

 「なぜ話せないのか?」の問いには、前身の「発掘!あるある大事典」時代を含めて放送が約五百二十回にも及ぶ点を挙げ、「調査委員会が三月中旬をめどに全容を解明した上で報告する」と説明した。

 この日は電波法に基づき、総務省から報告するよう求められたにもかかわらず、「調査委員会で検証する」というフレーズを十二回も連発。調査委の結果待ちの姿勢を鮮明にした。

 捏造問題では海外の研究者のコメントとして紹介した発言の信ぴょう性が揺らいでいる上、捏造が常態化していたとの疑惑も浮上しており全容解明にはかなりの時間がかかるとの“苦しい事情”が透けて見える。

 「関テレは主体性を放棄している」「視聴者は納得しない」などと相次いだ質問にも、千草社長は「ご指摘はごもっとも…」と神妙な面持ちでかわした。

 近畿総合通信局が入る合同庁舎のエレベーター前で、約二十分苦しい釈明を続けた千草社長。「なぜきちんと会見を開かないのか?」「企業として誠実な対応ではない。逆効果では?」と質問を浴びると、「すべてを把握して包括的に報告したい」と苦しげに説明を重ねた。調査結果の発表後に放送を検討している「検証番組」については「自浄のためにやる」との方針を示した。

■関テレ社長から経緯など聴取へ 民放連

 情報番組「発掘!あるある大事典2」の捏造問題で、民放連(会長・広瀬道貞テレビ朝日会長)は七日、緊急対策委員会を開き、来週前半に関西テレビの千草宗一郎社長に捏造の経緯や事後の対応について説明を聴くことを決めた。今後、同社の会員活動停止も視野に入れて対応を検討するとみられる。

 民放連の工藤俊一郎常務理事は「民放の番組全体の信頼が低下している。(民放連として)何らかの対応をするかしないか、まず説明を聴きたい」と話した。

 また、十五日の理事会で放送倫理の向上を図るための決議をする方針を決定。常設の放送基準審議会で倫理向上をテーマに研修を開くことなどを確認した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20070208/mng_____hog_____000.shtml