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2007年02月08日(木) 00時00分

基準6倍ダイオキシンも ホウ素も5倍検出 埼玉県、公表せず 彩の国資源循環工場のリサイクル施設=埼玉県寄居町で 東京新聞

 環境基準の二十七倍の鉛が検出された埼玉県の総合リサイクル施設「彩の国資源循環工場」(同県寄居町)で、新たに基準の六・一倍のダイオキシンと五倍のホウ素が検出されていたことが七日、分かった。県は先月二十五日までにこの事実を把握していたが、七日に開かれた、周辺住民で組織する監視員全体会で説明するまで、公表していなかった。

 県は鉛の検出量について、昨年十二月からホームページ(HP)で数値のみを掲載。問題発覚後に基準超過について言及していたが、ホウ素とダイオキシンは基準値を下回る別の時期の数値しか掲載していなかった。県は九日以降、これらをHPに記載する方針。

 ダイオキシンとホウ素が検出されたのは、二十七倍の鉛が検出されたのと同じ、工場敷地内の調整池に流入する直前の雨水排水口。ダイオキシンは昨年十二月二十六日採取の雨水から一リットル中六・一ピコグラム(環境基準は一ピコグラム)、ホウ素は九月四日の雨水から一リットル中五ミリグラム(同一ミリグラム)が検出された。

 鉛流出の原因となった「オリックス資源循環」の施設は昨年十一月三日に流出防止の改良工事を終えているため、ダイオキシンは別の原因で検出されたことになる。

 工場稼働前の一昨年十月六日の同地点の雨水調査では、ダイオキシンは〇・六一ピコグラムで環境基準を下回っており、県資源循環推進課は「(工場敷地内の)最終処分場の埋め立て地の土壌にダイオキシン濃度の高い部分がある可能性もある」と説明。「工場からの排水が原因か確定できない」として、工場各施設の雨水升や調整池、道路側溝の底のヘドロを採取し、原因を調査するという。

 ダイオキシンなどの数値をHPに掲載しなかった理由は、「正規の定期検査ではなかったから」と説明している。

 七日の監視員全体会には約百五十人が出席。県側は有害物質検出の経緯を説明したが、監視員らは「鉛の流出元が特定された昨年十月に、なぜ施設操業を停止しなかったのか。地元との協定書違反だ」と県を追及。県は「(今回と同じような問題があった場合)間違いなく操業停止にする」と明言し、協定違反があったことを認めた。

<メモ>ダイオキシンとホウ素 ダイオキシンは合成有機化合物で最強の毒物とされる。川や海に流出すると、食物連鎖で魚が取り込み、その魚を食べた人間の体内に蓄積。妊娠中の女性の場合、胎盤や母乳を通じて胎児が取り込むとされる。体重1キロ当たり10ナノグラム程度取り込むと、甲状腺ホルモン機能が侵され、脳の発達が阻害される危険性が指摘されている。ホウ素も大量に摂取すると、成長障害や神経障害を発症させる毒性がある。ホウ素を含むホウ酸は、7グラム程度が小児の体内に入ると死亡するとされる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070208/mng_____sya_____010.shtml