０５年秋の台風被害で経営を断念した第三セクターの高千穂鉄道（ＴＲ、高千穂町）は７日、全線５０キロの土地や駅舎など鉄道資産の大半を、沿線の延岡市と高千穂町、日之影町に寄付すると発表した。寄付を受けた３市町は、同社の経営を引き継ぐ民営新会社「神話高千穂トロッコ鉄道」に資産を無償貸与する。新会社はこれを受け、鉄道事業計画の作成など、運行再開に向けた取り組みを本格化させる意向だ。（二宮俊彦）
同日開かれたＴＲの株主の県と３市町の代表者会議で了承された。３市町の議会で承認を受けた後、６月のＴＲの定例株主総会で正式に決まる。
ＴＲが寄付するのは、土地や駅舎、車両、線路など。新会社が早期再開を目指す高千穂—槙峰間（約２１キロ）の線路と踏切などに限り、ＴＲが新会社に直接譲渡する。
これまで新会社はＴＲに同区間の資産の無償譲渡を求めていたが、両社に計３億６４００万円の法人税と事業税がかかると試算され、協議が難航していた。しかし自治体への寄付は非課税で、直接の譲渡分についても、ＴＲ側に繰越欠損金が約３９００万円あるため課税が避けられる見通しだという。これでＴＲの会社清算の長期化も避けられるという。
ＴＲは０５年９月の台風で鉄橋２カ所が流されるなどの被害を受けて全線復旧を断念。昨年９月に延岡—槙峰間（約２９キロ）の廃止届けを国土交通省に提出した。新会社が今年９月までに鉄道事業計画を出さないと、同区間の廃線が確定する。
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