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2007年02月08日(木) 10時48分

倉敷のホテル掘削工事 騒音、振動で中断 温泉法に基づき、県が初指導読売新聞

 倉敷市美観地区の隣接地で、ホテル建設に伴う温泉掘削工事が行われ、付近住民から騒音、振動の被害通報を受けた県が、「工事は公益を害する恐れがある」として、県では初の温泉法に基づく工事の一時中断を指導した。業者側も指導に従い、工事はストップ。地区周辺では、騒音、振動などを直接規制する条例はないが、県は通例、温泉掘削は対象外となる振動規制法と騒音規制法を駆使し、「総合的に判断した」という。

 東京都内の業者が建設する9階建てビジネスホテルで、来秋オープン予定。美観地区一帯では初の温泉掘削を計画し、深さ1500メートルまでのボーリング許可を県から受け、昨年10月2日に着工し、今年3月末に終える予定だった。

 掘削現場は美観地区の約50メートル西で、同地区の大半が含まれる市伝統的建造物群保存地区の「背景地区」の一角。周辺は住宅と商店が密集し、付近の住民が「すごい音で、毎日のように窓がバリバリ鳴り、床が震動する」などと県に訴えた。

 地区周辺では、市条例で建物の高さや色などが規制されるが、騒音や振動は対象外。掘削業者も防音パネルやシートなどを設置したが状況は改善せず、県の測定で、騒音規制法の制限値85デシベルを上回り、振動も激しいことが判明した。

 このため、県は「受忍限度を超えている」として、通例、ボーリング工事は対象外になっている騒音規制法を準拠したうえで、公益を害さず工事を進めるよう規定した温泉法に基づき、今月1日、工事の中断を指導した。

 県は「業者には改善計画書の提出を求めている。抜本的対策が講じられなければ、工事の再開は認められない」としている。

 ホテル側担当者は「大浴場はホテルの目玉だが、工事で近隣住民の方に迷惑をかけたのであれば申し訳ない。掘削業者から説明は受けており、十分な対策を取るようお願いした」としている。

 環境省自然環境局の話「全国的に都市部で騒音被害の訴えが増えており、現在、評価方法や規制方法のあり方について見直しを進めている。実情に見合うよう法改正の検討も進めたい」

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/news001.htm