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2007年02月08日(木) 03時06分

障害者住民票で運転免許不正取得、口座開設などに悪用読売新聞

 知的障害者らが住民票を勝手に取得され、さらにこの住民票を使って自分名義の運転免許証を不正取得される被害が、神奈川県内で相次いでいることが7日、わかった。

 障害者になりすまして不正取得された免許証は少なくとも10人分。消費者金融からの借り入れや銀行口座の開設などに悪用されており、神奈川県警は犯行グループのうち2人を逮捕した。

 他人の住民票でも免許証を取得できる現行制度の抜け穴が突かれた形で、警察庁は、対策を検討したいとしている。

 詐欺や有印私文書偽造の疑いで逮捕されたのは、横浜市旭区白根町、配管工星信寛(36)、同市緑区三保町、会社員鮫島剛(36)の2被告(別の逮捕監禁罪などで起訴)。

 調べによると、星被告らは昨年4月12日、同市緑区の地方銀行で、同区に住む知的障害者の男性名義で不正に取得した運転免許証を使って口座を開設し、預金通帳1通をだまし取った疑い。グループは計6人とみられ、県警は残る4人の行方を追っている。ほかにも多数の口座が確認されており、県警は振り込め詐欺などに使おうとしていたとみて追及する。

 グループは、障害者通所作業所から障害者を尾行し、郵便物などから名前や生年月日をチェック。障害者本人のふりをして区役所を訪れ、「免許取得のため」と住民票を請求、身分証の提示を求められると、「持っていない」と言って障害者あての郵便物を示し、職員を信用させていた。

 住民票の写しを運転免許試験場に持参し、障害者の名前で筆記だけの原付きバイクの試験を受けて合格。即日、免許証の交付を受けていた。免許証にはメンバーの顔写真と障害者の名前などが記載され、同じ顔写真で名義が異なる免許証が複数存在していた。

 グループは不正取得した免許証を使って携帯電話の契約を結んだり、複数の消費者金融から計120万円を借りたりしていたとみられる。名義を使った障害者宅に請求書が届かないよう郵便局に転居届を出し、空き家のマンションなどに届くように工作もしていた。

 星被告らは「知的障害者は免許を持っている可能性が低いうえ、犯行が発覚しても被害を訴えられないと思った」と供述している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070208it01.htm