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2007年02月08日(木) 00時00分

妻「発覚時リコールあれば」朝日新聞

  三菱自動車製大型車のクラッチ系統の欠陥による死亡事故をめぐり、業務上過失致死罪に問われた元社長河添克彦被告(70)ら4人の公判が7日、横浜地裁で開かれた。死亡した運転手の妻が証人として出廷し「欠陥が分かった時点でリコールしてくれれば事故は起きず、死ぬことはなかった。本当に悔しい」と述べた。審理は実質的な証拠調べを終え、論告求刑公判が4月25日にあり、7月18日に結審する予定だ。

(岩波精)

  事故は02年10月、山口県熊毛町(現・周南市)で起きた。山陽自動車道を走行中だった冷蔵車が暴走して道路脇の建物に衝突、運転手が死亡した。当初は整備不良が原因とされたが、その後の調べで、クラッチを格納する「クラッチ・ハウジング」の破損がブレーキパイプの破断を招き、制御不能に陥ったとわかった。

  元品質・技術本部副本部長の中神達郎被告(64)と元三菱ふそうトラック・バスカンパニー社長の村田有造被告(69)の2人は04年10月の初公判で過失を認めたため、遺族との間で示談が成立した。しかし、その後、否認に転じ、河添元社長と元三菱ふそうトラック・バス会長宇佐美隆被告(66)も含め4人とも無罪を主張している。妻は証言で「(4人と)顔を合わせることはできない。許さない」と声を震わせた。

  妻によると、クラッチの不具合が事故原因だと知らされたのは04年5月。「主人は車を何度も整備に出し、安心して乗っていたのに、整備不良と言われた。副社長が謝罪に来たが、線香をあげてほしくなくて仏壇を隠した」と話した。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702080005