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2007年02月08日(木) 00時00分

排水で不正、書類送検/記録改ざんなど朝日新聞

 市原市内の工場で、東京湾に排出する水質の測定をしていなかったり、測定記録を改ざんしたりしたとして、県警環境犯罪課などは7日までに、ビル用建材の不二サッシ(川崎市中原区)、王子製紙の子会社の王子コーンスターチ(東京都中央区)の2社と、両社の当時の担当職員4人を水質汚濁防止法違反の疑いで千葉地検に書類送検した。

調べでは、不二サッシは04年4〜12月、千葉工場(市原市)で排水中の化学物質の測定をせず、同法で義務づけられた記録をしなかった疑い。調べに対し、「測定機器の掃除や管理が大変で、きちんとした測定ができなかった」などと話しているという。

 また、王子コーンスターチは04年5月〜05年1月、千葉工場(同市)で排水中のりんなどの化学物質の数値を、市に提出する記録表で、実際よりも高めに改ざんしていた疑い。調べに対し担当職員は、「化学物質の排出量が基準値より低い状態が続くと、基準自体が下げられてしまうのではないかと思った」と話しているという。

 県内では04年末以降、相次いで水質データをめぐる不祥事が発覚している。水質汚濁防止法によって水質データの記録が義務づけられている県内の事業所は約750あるが、東京湾岸に工場を置く企業の希薄な環境意識が浮き彫りになっている。

 発端になったのは、JFEスチール東日本製鉄所千葉地区(千葉市)の違法排水。04年12月に千葉海保が発見し、その後、10年以上に及ぶ違法排水とデータ改ざんが明るみに出た。続いて、昭和電工千葉事業所(市原市)で05年3月、基準を上回る量の排水を流し、データを改ざんしていたことが発覚した。

 いずれも担当の社員が罰金刑に問われたが、「会社ぐるみの犯行とは認定できない」として、書類送検された法人への起訴は見送られている。

 今回、書類送検された王子コーンスターチ千葉工場は05年8月、JFEの問題を受けて改ざんの公表に踏み切った。一方、不二サッシ千葉工場は、1年間記録の提出がなかったため、同市が05年6月に立ち入り検査を行い、発覚した。

 市原市環境管理課の担当者は「大企業が測定していないということは予測できず、単に(記録表の提出が)遅れているのかと思った」と振り返る。

 2社は書類送検を受け、「担当者に任せきりでチェック機能が働かなかった」(不二サッシ)「環境管理の不備を反省し、環境問題は最重要課題との認識で経営に努める」(王子コーンスターチ)と話している。

 県警環境犯罪課は「悪質なものについては、今後も厳しく取り締まっていく」としている。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702080001