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2007年02月07日(水) 00時00分

警官はねられ重体 東武東上線、女性助けようと 助けに入った警察官と女性が電車にはねられた現場=6日午後9時7分、東京都板橋区の東武東上線「ときわ台」駅で 中日新聞

 6日午後7時半ごろ、東京都板橋区常盤台1の東武東上線ときわ台駅で、駅を通過しようとした池袋発小川町行き急行電車(10両編成)に、線路に立ち入った同区在住の無職の女性(39)と、救助しようとした警視庁板橋署常盤台交番の宮本邦彦巡査部長(53)がはねられた。2人は近くの病院に運ばれたが、宮本巡査部長は頭を打ち、意識不明の重体。女性は腰の骨を折る重傷を負った。乗客らにけがはなかった。

 板橋署の調べでは、現場近くの踏切内に女性が立ち入ったのを、線路脇の常盤台交番に1人で勤務していた宮本巡査部長が通報を受け、女性を交番に連れ戻した。しかし、すきを見て女性が逃げ、線路内に侵入。駅ホームの方向へ歩き始めたため、宮本巡査部長が駆け付け、ホームの下に避難させようとして電車にはねられたらしい。女性は現在、精神科に通院中とみられ、同署は女性が自殺しようとしたとみて調べている。

◆「だめだろ」何度も大声

 警察官らが急行電車にはねられた東武東上線ときわ台駅での6日夜の事故。ホーム上の乗客や踏切近くの通行人らは、線路上を歩いていた女性を必死に助けようとして事故に巻き込まれた警察官の姿を目撃していた。

 ホームで電車を待っていた女子大学生(22)によると、急行電車が入ってくる数分前から踏切の手前で「死にたい」などと話す女性に対し警察官が落ち着くよう説得していた。女性がいきなり線路内に入り、駅方向へ歩きだしたため、警察官は「危ない!(ホームの)下に入らなきゃ」と叫びながら、必死にホーム下の避難用の空間に引きずり込もうとしたが女性は抵抗。警察官は「だめだろ」と何度も大声で叫んでいたという。

 ホーム上では、利用客らがこの騒ぎを見て「大変だ。電車を止めろ」「駅員に知らせろ」と大声を上げたが、その直後、急行電車が入線。ホームの陰に隠れて2人の姿は見えなかった。

 踏切の外から事故を目撃した男性会社員(43)の話では、警察官は女性を背後から両手で抱きかかえるようにしてホームの下へ体を押し込もうとしたところで、電車が入線し、激しいブレーキ音がしたという。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070207/mng_____sya_____009.shtml