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2007年02月07日(水) 00時00分

将来の年金 「現役収入の51・6%確保」読売新聞

厚労省試算 景気回復で改善

 厚生労働省は6日、厚生年金の給付水準は将来にわたり、現役世代の平均収入の51・6%を確保できるとする「暫定試算」を公表した。2055年の出生率(中位推計)を1・39から1・26に下方修正した新人口推計に基づいて再計算したものだが、最近の景気回復を反映した結果、04年の前回試算を1・4ポイント上回る結果となった。

 04年の年金改革の際、政府・与党は「50%以上」の給付水準を目標に掲げており、5割を維持できるかどうかが大きな判断基準になっている。試算では、現在、60%弱の給付水準は徐々に低下するものの、2026年度以降は51・6%で安定するとしている。

 試算には、標準的な出生率の予測である中位推計を使っている。ほかに、年金積立金の運用利回りなどの要素を加えるが、これが景気回復で大幅に改善されると見込んでいる。厚労省は、出生率の修正による前回試算からの減少分は4・5ポイント程度、経済成長や運用利回り改善による増加分は6ポイント程度と説明している。

 厚労省は、楽観的な「高位推計」(1・55)と悲観的な「低位推計」(1・06)を用いても試算しているが、その場合の給付水準はそれぞれ、「20年度以降は54・2%」「31年度以降は49・4%」となった。

 一方、経済のプラス要因を加味しない試算では、高位「29年度以降は50・3%」、中位「35年度以降は46・9%」、低位「38年度以降は43・9%」となった。経済成長の勢いが止まれば、50%の給付水準は維持できないことになる。

 試算は原則5年ごとで、次回は09年の予定だった。しかし、昨年末に公表された新人口推計でより深刻な少子高齢化の実態が明らかになり、厚労省が年金への影響を検証するために暫定的に試算した。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070207mh07.htm