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2007年02月07日(水) 22時37分

比の腎臓売買公認制度案、公聴会を非公開に読売新聞

 【マニラ=遠藤富美子】腎臓売買の事実上の公認に向けた新制度案を検討しているフィリピン政府は7日、10日に予定する「公聴会」を非公開にすることを決めた。

 「公聴会」は当初、公開で行われることになっていた。政府筋は変更の理由について、「メディアの殺到を避けるため」としており、新制度をめぐって国内で賛否両派の間で緊張が高まっていることを示唆した。

 今回の制度案は、外国人患者が、〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人の移植代——を支払う内容。先週、新制度の概要が明るみに出て以後、内外の関心が高まっており、政府筋は「現状で一般公開の公聴会を開けば、議論が混乱する可能性がある」と語った。

 新制度案の賛成派は、一刻も早い腎臓移植を望む多くの外国人、フィリピン人患者。10日に議論される制度案のもともとの発案者である医療観光会社「コンシェルジェ・メディカル・ホリデイズ」のイメルダ・ニコラス専務は「外国人とフィリピン人双方に有益な制度」とし、「闇取引を一掃して透明化を図る狙い」と強調する。

 一方、移植医療関係者は、新制度で外国人患者がフィリピンに殺到するのを懸念。病院関係者は、「新制度が実施されれば、国内のドナー不足に拍車をかけるだけ」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070207i115.htm